2020 Fiscal Year Research-status Report
19世紀末から20世紀初頭の欧米の「日本美術」愛好を支えたネットワーク
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16K16720
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前崎 真紗子 (山本真紗子) 立命館大学, 文学部, 授業担当講師 (70570555)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 美術商 / 近代 / 日本 / 英国 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は私事により調査活動ができなかったため、2020年度より調査を再開し、資料調査や調査のための出張を予定していた。しかし新型コロナ感染症の流行やそれに伴う調査予定先の休館や閲覧制限等により、とくに出張をともなう調査はキャンセルせざるをえなかった。そのため、ウェブ上で公開された資料などを使用することで可能な調査活動をおこなうにとどまった。 稲田賀太郎の自筆の「北斎漫画」解説ノートについては、翻刻作業をおこない、全2冊分をすべて書き起こすことができた。本資料は稲田のヨーロッパでの活動を跡付ける数少ない資料であるが、現在、同時代の北斎研究や日本美術の画題辞典等を参照しつつ、記載内容の確認や資料の位置づけにかかわる調査をおこなっている。 また、過年度から継続的におこなっているThomas Joseph Larkin の日本でのお雇い外国人としての行跡については電信寮などにかかわる資料を調査した。彼のロンドンのギャラリーthe Japanese Galleryの活動についての調査については、今年度もウェブ上で公開されているデジタル・アーカイブや新聞記事の検索サービスを用いて実施した。ほかにも関連調査として、富田熊作にかかわる資料の調査などをおこなっている。上記のような調査をまとめ、現在論文化の作業をおこなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究代表者は研究期間中の2017年と2019年に私事により、当初計画していた海外調査・国内調査の実施を中止せざるをえなかった。そのため、当初の計画書では海外・国内出張旅費として計上していた金額の執行を他の調査活動のために執行している。2020年春より研究・調査を再開する予定であったが、現状では国内においても出張や遺族への対面調査が難しい状況にあるため、ウェブ上のデジタル・アーカイブの活用などをもって代替の調査としている。研究実績の項でも述べたように、翻刻作業の完了など計画通りに進んだ作業もあったが、コロナ感染拡大防止のために史料館・図書館等の臨時休館や所属機関以外の大学図書館での資料の閲覧の停止などがとられたため、資料調査が十分に進まなかったところもある。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の調査の成果を来秋に論文としてまとめ投稿することを考えているが、進捗状況の項目でも述べたように、コロナ感染拡大防止のために史料館・図書館等の臨時休館や所属機関以外の大学図書館での資料の閲覧の停止などが2021年春になっても継続されているため、確認したいが現在も閲覧できていない資料がある。感染拡大状況やそれに伴う各機関・施設等の対応をふまえつつ、できる限り必要な調査をおこなっていきたい。
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Causes of Carryover |
研究代表者は研究期間中の2017年と2019年に私事により、当初計画していた海外調査・国内調査の実施を中止せざるをえなかった。そのため、当初の計画書では海外・国内出張旅費として計上していた金額のかなりの大部分が執行されずに残っている。2020年度は国内出張も予定していたが、コロナ感染症拡大という状況の中で史料館・図書館等の臨時休館や所属機関以外の大学図書館での資料の閲覧の停止などの防止策がとられたこともあり、出張計画をたてることが難しく、残金すべてを執行することはできなかった。出張については今後の状況を見つつ実施できるものについては実施したい。それ以外の残金については、一部資料の購入などに充てたいと考えている。また2021年度も引き続き出張が難しいようであれば、残金の返還も考えている。
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