2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16722
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Research Institution | The International University of Kagoshima |
Principal Investigator |
小田 綾 (伊藤) 鹿児島国際大学, 国際文化学部, 准教授 (50767043)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マックス・レーガー / ドイツ歌曲 / Schlichte Weisen / Leise Lieder / リヒャルト・シュトラウス / Friede |
Outline of Annual Research Achievements |
1)2017年度の研究を基にした英文論文作成。 2017年に日本音楽学会第68回全国大会で行なった研究発表をもとに、マックス・レーガーのふたつの歌曲《Friede》(opp. 79c-4と76-25)の比較および統辞論的研究を進め、研究結果を英文論文にまとめる作業を行なった。2018年度中に完成させる予定であったが、産休・育休に入ったため、論文の完成は2019年に持ち越すこととなった。
2)2019年10月18日~20日に蘇州で開催される国際音楽学会アジア支部大会へ参加するための研究および研究発表の応募。 これまでの研究の結果、レーガーの複数の歌曲に「ひとつないし複数のモチーフを楽曲全体に拡張させる手法」が見られることが明らかとなった。現在の時点でこの手法はレーガーの「ミュンヘン時代(1901-1910)」の作品に顕著に見られるが、これがミュンヘン時代の特徴なのか、それともレーガーの歌曲全体に見られる特徴なのかを決定づけるには、さらに多くの歌曲を分析する必要がある。その分析の核となるのが、歌曲集《Schlichte Weisen》(op.76)全60曲の研究であろう。この歌曲集は、リヒャルト・シュトラウスの影響を多大に受けて作曲されたものである。レーガーは《Schlichte Weisen》作曲の前に1899年から1904年にかけてシュトラウスの作品を集中的に研究し、シュトラウスがすでに作曲した13編の詩に自らも作曲を試みた。したがって《Schlichte Weisen》全曲の分析に入る前に、この13の歌曲をシュトラウスのそれと比較分析し、シュトラウスの影響を具体的に明らかにすると同時に、それぞれの作品を統辞論的に分析することにより、レーガー独自の作曲技法もあぶり出していきたい。現在の時点では、《Leise Lieder》(op.48-2)にとりわけ興味深い作曲技法を発見することができた。この分析の成果は、2019年10月に蘇州で開催される国際音楽学会アジア支部大会で発表することが決まっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究実績の概要にも記した通り、2018年7月10日~2019年3月31日まで産休・育休に入っていたことにより、その期間はほとんど研究を進めることができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初、本研究ではレーガーの歌曲全曲を網羅的に分析し、その作曲技法を明らかにすることを目的としていたが、現在の時点でそれはかなり厳しい状況である。その理由としては、統辞論的分析は、詩と音楽のあらゆる要素の関係性を分析するため、1曲の分析にある程度の時間を必要とすることが挙げられる。したがって、今後は少なくとも歌曲集《Schlichte Weisen》(op.76)全60曲の分析を完結させることを目標とする。この歌曲集は1904年から1912年にかけて作曲されていることから、分析を通じてこの期間におけるレーガーの作曲技法の特徴とその変遷を明らかにすることは可能である。さらにこの作曲期間にレーガーの「ミュンヘン時代」も重なっていることから、独自の作曲技法を模索した「ミュンヘン時代」の特徴も明らかにできると考えている。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、7月10日~3月31日まで産休・育休に入っていたことにより、海外での資料収集や学会発表などができなかったためである。 使用計画としては、2019年度に蘇州で開催される国際学会で発表することが決まっているため、そこへの参加費、渡航費用に充てる。また、この発表に伴う資料収集を8月にドイツのマックス・レーガー研究所で行う予定である。
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