2016 Fiscal Year Research-status Report
文徴明研究―文人画家としての系譜意識の形成と確立について
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16K16730
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Research Institution | The Museum Yamato Bunkakan |
Principal Investigator |
都甲 さやか 公益財団法人大和文華館, その他部局等, 学芸部員 (80706755)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 美術史 / 東洋史 / 文人 / 蘇州 / 文徴明 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、東洋美術史上重要な文人画家である文徴明(1470~1559)の作画活動における、古画学習の様相とその意義を明らかにすることにある。
本年度は当初の予定通り、画の師である沈周(1427~1509)との関わりに焦点をあて、研究を行った。すなわち、文徴明が沈周からどのような画技と思想を学び、自己様式を確立していったかを、絵画作品と文字史料の収集・確認をとおして考察した。とりわけ報告者は、先学に指摘されてきた、文徴明画の特徴ともいえる淡彩による彩色表現が、沈周の初期作品からの学習であるという見解についてより考察を深化させるべく、その受容の背景にどのような思いがあったかを、絵画作品と文献史料の両面から調査した。 絵画作品の精査・比較検討の結果、文徴明は早期から、明らかに沈周画から学んだとみられる筆法・附彩に基づき、画作を行っていることがわかった。更に文献資料の精査により、文徴明は「画に古風をもたせるためには、彩色は素朴で淡泊なものであるべき」とみていたことがわかり、こうした考えのもとに、1530年代の成熟期における淡彩の倣古作品が生み出されたのではないかという新知見を提示した。更にこの色彩に対する考えは、文徴明が沈周に古画について教示を受け、また沈周の倣古作品における淡彩表現を実見していく中で、みずからの画に取り入れていった可能性があることを指摘した。
以上の成果は、本年度の研究目的であった、文徴明研究における沈周の重要性を、「淡彩表現の継承」という一側面から新たに提示するものといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、9月より研究機関を異動したため、参考資料の設置状況、取得方法などといった研究環境が大きく変化した。しかし文献史料の収集については概ね当初の予定通りに進んだ。国外所蔵作品の画像資料の収集、作品の実見調査については、若干予定より遅れが出ているため、次年度前半期に行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、国内外における文献史料・絵画史料の調査収集に努める。また本年度の成果もあわせて、次年度には論文や学会発表といった形で公に公表し、成果の共有化を図りたい。
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Causes of Carryover |
一.当初予定していた、国外所蔵作品の画像資料収集を、本年度中に行うことができなかった。 二.日本の書店を通じて購入を希望していた海外書籍(全集)が、絶版ということで購入不可となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度前半期に、本年度購入予定であった国外作品の画像資料を購入する。また書籍購入キャンセル分については、別の必要書籍分にあてていきたい。
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Research Products
(3 results)