2016 Fiscal Year Research-status Report
ルネサンス期の芸術家一族の活動と近代的芸術家像の確立:ギルランダイオ工房を中心に
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16K16735
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Research Institution | Keisen University |
Principal Investigator |
伊藤 拓真 恵泉女学園大学, 人文学部, 准教授 (80610823)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ルネサンス美術 / 芸術家工房 / ドメニコ・ギルランダイオ / ダヴィデ・ギルランダイオ / ベネデット・ギルランダイオ / イタリア美術 / 北方絵画との交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度である本年度には、中心的な研究対象となるギルランダイオ工房に関して、工房主のドメニコの弟ダヴィデおよびベネデットの活動を解明するための調査を主として行った。具体的には、コートールド美術館(ロンドン)、フィッツィウィリアム美術館(ケンブリッジ)、アシュモーリアン美術館(オックスフォード)などでの作品調査、ウィット・ライブラリー(ロンドン)や、マックス・プランク美術史研究所付属写真館(フィレンツェ)などでの写真資料を用いた調査、およびマックス・プランク美術史研究所付属図書館(フィレンツェ)などでの文献調査を行った。その調査をもとに、関連作品の情報を集約し、さらなる研究の基礎として利用できるように整えた。 上記の調査の結果、ダヴィデおよびベネデットの活動についての分析を進めることが可能となった。先行研究において、ダヴィデは工房のなかで周辺的な位置づけをされていたが、本研究においては肖像制作者としての一面を明らかとし、工房におけるダヴィデの活動の重要性を様式的分析を通じて明らかとした。その論考の一部は2016年9月に北京で開催されたCIHA World Congress of Art Historyでの口頭発表を行い、会議論集の一部として出版される予定である(入稿済み)。 またベネデットについては、先行研究においてはまったく解明されていなかった初期の活動について、いわゆる「セントルイスの画家」がそれに相応するという説を得るにいたった。この分析の結果については、2017年5月に開催される美術史学会全国大会で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
夏季にイギリス、フィレンツェなどで調査を行った際に、想定以上の進展があった。その一方で、当初予定していた春季の調査を3年間の資金配分などを検討した結果翌年度以降に繰り越したため、研究全体としては当初想定していた程度の進展となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度からは研究者の所属機関の変更があったため、2017年度は研究環境の整備が大きな課題の一つとなる。
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Causes of Carryover |
最初期の計画で春季に計画していた海外調査を、3年間全体の資金配分などを考慮した結果、翌年度以降に繰り延べたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
海外での調査および図書資料の購入などで使用する。
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Research Products
(3 results)