2016 Fiscal Year Research-status Report
聴覚障害者情報支援のための舞台芸術手話通訳技術研修カリキュラムの開発と作成
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16K16740
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Research Institution | Tsukuba University of Technology |
Principal Investigator |
萩原 彩子 筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 助手 (30455943)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 手話通訳 / 舞台芸術 / 聴覚障害者支援 / 演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、我が国で行われている舞台芸術手話通訳における問題点を洗い出すとともに、舞台芸術活動における手話通訳活動の先進国を視察することで、舞台芸術活動における手話通訳に必要な技術を明らかにし、舞台芸術活動に特化した手話通訳の技術研修プログラムの開発を目的としているものである。舞台芸術活動の中でも、特に演劇に注目して研究を進めているところである。平成28年度は、①イギリス視察、②手話通訳つきモデル公演の分析という2つの柱で研究を行ってきた。 ①については、舞台芸術活動手話通訳の先進国であるイギリスを訪問し、舞台芸術活動手話通訳の視察(2カ所)および舞台芸術活動手話通訳を専門に行っている手話通訳者とのミーティングを行った。手話通訳の視察ではミュージカルとストレートプレイの2種類の演劇公演について、手話通訳の表現上の工夫はもちろん、環境上の工夫(立ち位置、照明など)の場面を視察した。あわせて、イギリスにおける舞台芸術活動の聴覚障害者へのアクセシビリティ環境(手話通訳つき公演の頻度や広報、チケット購入方法など)についても調査を行った。なお、本視察の成果については筑波技術大学テクノレポートで発表し、広く公表している。 また②は、当初手話通訳者へのインタビュー調査を予定していたが、我が国では珍しい舞台手話通訳つきのモデル公演が行われることが急遽明らかになったため、その公演の映像を利用して手話通訳の分析を行うこととした。 その他、国内外の最新の研究動向に関する調査研究として、国外の状況の情報収集や国内で行われた聴覚障害者の舞台芸術活動に関する活動の視察などを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度に実施予定だった計画のうち、国内の状況の変化に応じて一部を変更したものの、より研究の目的に沿った成果をあげるための変更であり、全体としては順調に進行していると考え、この区分とした。特にイギリス視察では短期間にも関わらず2カ所の舞台を視察でき、手話通訳者との情報交換もでき今後の研究活動にあたっての協力関係が構築できたことから、大きな成果を挙げることができたといえよう。また、モデル公演の手話通訳分析は順調に進み、平成29年度早々に成果発表を予定しているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、当初の計画どおり、手話通訳を通じて舞台芸術活動を鑑賞した聴覚障害者へのインタビュー調査を実施する予定である。また、当初の計画にあった手話通訳者への質問紙調査については、予定を変更し、平成28年度に実施予定だった手話通訳者へのインタビュー調査を実施したいと考えている。当初予期していなかった状況の変化に対応して計画を変更するものであるが、もともと実施する予定で準備を進めていたため、特に全体の進捗に影響はないと考える。研究の成果報告としては、平成28年度に行ったモデル公演の手話通訳分析について発表する予定である。 平成30年度については平成29年度に実施する2つのインタビュー調査の分析を行い、当初の計画通り舞台芸術活動に特化した手話通訳技術に関する研修プログラムの検討と開発に取りかかる。
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Causes of Carryover |
全体としては順調に実施できたが、イギリス視察の旅費が安価にできたことや、計画の一部を変更したことで見込んでいた謝金が不要になったことから次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額については、平成28年度計画から平成29年度計画に移行させたインタビュー調査での謝金等に充てる予定である。なお本研究は3年間の計画であり、まだ平成29年度が2年目である。状況に応じて研究の微修正を行いながら、全体の研究を進めていくことができる時期であるため、問題なく使用できるものと考える。
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