2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K16746
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 彩 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 助教 (20580707)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | リシツキー / 構成主義 / アイソタイプ / オット・ノイラート / イゾスタット |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度はリシツキーと交流のあったウィーンの経済学者オットー・ノイラートのロシアでの活動に関する調査を継続し、研究成果を発表した。ノイラートは統計を視覚的に表すメソッッド「アイソタイプ」を考案した人物であり、1931年にモスクワに滞在してアイソタイプの研究所「イゾスタット」を設立した。前年度はモスクワの図書館で「イゾスタット」の出版物の調査を行ったが、当該年度はこのとき収集した資料をもとに、リシツキーが手がけたものを中心とする「イゾスタット」の出版物の分析と考察を行った。また、リシツキーが手がけたグラフ雑誌『建設のソ連邦』や公式アルバムの中でもアイソタイプが用いられていることに注目し、それらの分析と考察を行った。 リシツキーとイゾスタットに関しては、6月から7月にかけてモンゴル国立大学で開催されたEast Asian Conference on Slavic Eurasian Studies において、”How do Visual Books Represent the Soviet Union?: The Experiment in Graphic Design in the 1930s”というタイトルで発表を行い、研究成果を発表した。 また2019年2月には単著『ロシア構成主義 生活と造形の組織学』(共和国)を出版したが、これまでの研究成果を踏まえ、本書の第5章および6章においてリシツキーの活動について考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果を国際学会および単著において発表できたため。また、イゾスタットおよびロシアにおけるノイラートの活動とリシツキーの交流というこれまでにない研究を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
イゾスタットについて重点的に調査・考察したため、リシツキーの国際的な活動についての現在までの研究はノイラートとの交流が中心となっている。今後は、リシツキーのベルリンおよびハノーファーを中心とするドイツでの活動にも注目し、調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度はリシツキーとイゾスタットの活動というテーマに絞り、研究成果の発表に注力したため、予定していた海外出張を行わなかった。ロシアおよびドイツでのリシツキーの活動をめぐる調査のために次年度に予算を使用する予定である。
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Research Products
(2 results)