2018 Fiscal Year Research-status Report
新出資料を含む『夜の寝覚』を基点とした文学史再構築のための研究
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16K16758
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高橋 早苗 (鈴木早苗) 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10625122)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 夜の寝覚 / 寝覚 / 平安後期 / 老い / 源氏物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度も、前年度に引き続き『夜の寝覚』に関連するものを中心に調査・検討を行うことを目指した。具体的には、資料を積極的に調査・収集するとともに、作品全体を捉えるための分析視点を獲得することである。しかし、勤務先の業務に従事する割合が大きく、そちらに励むこととなり、一部については残念ながらあまりはかどらなかった。具体的に言うと、『夜の寝覚』の欠巻部分に関わる資料の丁寧かつ精緻な読解に至ることはかなわなかった。一方、現存部分に関する分析視点の観点について、研究書に基づく理解や、個別の作品における先行研究の把握・整理を行うことができた。東北大学等に赴き、所蔵の『夜の寝覚』の体裁や本文等を改めて確認することで、作品に関する文献的な基本事項の把握・見直しを行えたのも成果であった。 なお、本研究においては、『源氏物語』などの平安前期文学作品の調査・検討を踏まえたうえで、平安後期文学作品と比較することも視野に入れている。当該年度は「老い」という観点から『源氏物語』を読み解いた。その成果は(刊行は次年度になるが)令和元年5月刊行の『日本文学』に掲載予定であり、今後はそこで得られた成果を『夜の寝覚』の分析に反映させていく。なお、当該年度は、平安文学研究の知が集結する学会として代表的な中古文学会にも参加し、多角的な視野と知見を得ることができた。 次年度は、最終年ということを念頭におき、平安関文学作品のみならず、いわゆる平安文学後期作品との関連をも視野に入れ、調査・分析・考察に励む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
『夜の寝覚』の本文検討を行ったり、先行する作品の考察・分析の成果を論文にまとめることはできたものの、『夜の寝覚』関連の資料の調査・収集に関しては、予定していた分まで行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、当該年度に行えなかった資料の調査・収集に励み、それに基づく検討分析を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由の一つに、当初予定していた分の資料調査を完全に行えなかったことがある。また、業務多忙のため購入の手はずを整えられなかった物品等もある。次年度は、必要機関に赴き収集に励むとともに、そうした物品等の手配も行いたい。
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Research Products
(1 results)