2016 Fiscal Year Research-status Report
近世中期の有職家・神道家をめぐる学芸ネットワークの研究―神村正鄰を中心に―
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16K16773
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
勢田 道生 大阪大学, 文学研究科, 特任講師(常勤) (40580668)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近世 / 神道 / 有職 / 人的交流 / 書物流通 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、第一に、近世中期の有職家・神道家である神村正鄰を中心として、有職家・神道家の学芸の特徴とその社会的意義を明らかにすること、第二に、神村正鄰旧蔵書を手がかりとして、有職家・神道家をめぐる学問的影響関係および知的情報の媒介・流通の実態を明らかにすることである。 上記の目的に基づき、本年度は、(1)神村正鄰・忠貞旧蔵書目録のデータ入力を完了するとともに、諸機関の蔵書目録等との比較検討を行い、当該伝本や写本の所在状況を確認すること、(2)神村正鄰・忠貞旧蔵書のうち、特に神道書・有職書について閲覧調査を行うこと、(3)正鄰・忠貞自身の著作について検討を進めること、(4)正鄰・忠貞の履歴について関係資料を収集し、基礎的事実の確定に努めること、を計画していた。 これに対し、本年度の成果は以下の通りである。(1)神村正鄰・忠貞旧蔵書目録のデータ入力を完了したが、他機関等の目録との照合を終えることはできなかった。(2)正鄰・忠貞旧蔵書のうち、神道書や有職書については、名古屋市蓬左文庫所蔵のものの多くを閲覧することができた。ただし、原本保護の観点から、デジタル閲覧が可能なものを優先して調査を行っている。(3)正鄰・忠貞の著作については、いくつかについて閲覧調査を行い、複写物も入手したが、内容の厳密な検討には至っていない。(4)正鄰の履歴について、年度当初には想定していなかった資料を確認し、正鄰に関する新たな情報を多く得ることができた。(5)このほか、伯家神道説に関するいくつかの資料を確認することができ、また、近世の神道家の集書に関する資料の分析を行い、論文として投稿することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正鄰・忠貞旧蔵書目録の分析、および、両人の著作の内容の分析については、やや予定よりも遅れているが、正鄰の生涯に関する基礎的事実の確認については、当初の予定を大きく超えて重要な情報を確認することができており、また、正鄰の学んだ伯家神道に関する資料も、予定以上に多く収集することができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、正鄰が学んだ伯家神道に関わる古今和歌集説・神代巻説と思われるものを確認することができた。これらは、伯家神道の説の特徴や社会的影響を考える上で重要なものと思われるため、今後、詳細な検討を行う。このほか、本年度に十分な達成に至らなかった正鄰・忠貞旧蔵書目録の分析や著作の分析についても、翌年度以後に予定されている研究と並行して行う。
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