2017 Fiscal Year Research-status Report
ポスト・インダストリアルのアトランティック・カナダ文学―リチャーズを中心に
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16K16788
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
荒木 陽子 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (90511543)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | アトランティック・カナダ / ポストインダストリアル / 環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は、アトランティック・カナダを舞台とする作品の研究をつづけた。特に、David Adams RichardsのMercy among the Childrenおよび、Ann-Marie MacDonaldのFall on Your Kneesについては、学会シンポジウム講演のうえ、学会誌に論文を発表した(日本カナダ文学会)。そのほかに現代アトランティック・カナダ文学全般に関する研究も進め、国際シンポジウム(第10回Thomas Raddall Symposium)にてアトランティック・カナダ文学研究・教育の成果を発表した。また前年度までに研究を終えていたAlistair MacLeodのNo Great Mischiefに関する論文を共著の一部として出版した。期間中、同分野に関して、合計4編(うち一編は共著書に収録)の論文を執筆した。 前述の2017年7月のカナダにおけるシンポジウム参加の際には、現地在住のアトランティック・カナダ文学研究者らの意見を参考にしながら、平成30年度実施予定の招へい講演の講演者の調整を行った。第一にRichards本人の招へいの可能性を第一に探ったが、健康上の問題、国政関与の可能性(結果的にRichardsは8月末にカナダ上院議員になった)ため、作家本人の招へいは断念し、近年のRichards研究に関しては突出した業績を持つTony Tremblay氏に招へいし、講演を依頼することとし、その後調整等を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度10月に研究機関の移籍があり、その後家族体調不良が重なったため、2年目の研究が大きく遅れてスタートした。そのため、当初予定していたRichards小説の翻訳が進んでいない。一方で、学会発表、論文執筆は29年度であらまし予定通りのところまで進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
3年目はRichardsの専門家を6月の日本カナダ文学会の基調講演者としてむかえ、ポストインダストリアル(産業・環境)に関するシンポジウムと同時開催するとともに、所属大学および学会開催地である名古屋の教育機関で講義・講演会等を行い、アトランティック・カナダ文学についての自身ならびに研究者、学生の理解を深める予定である。また講演者の来日時の国際航空券については負担する必要がなくなったため、その費用を用いて5月に国際学会に参加し、近年のアトランティック・カナダの表象の一端として、同地域出身でありながら、あまりそれについて語ることのない、アジア系の作家に関する発表を行い、現代アトランティック・カナダ文学の研究をすすめる。 遅れているRichardsの翻訳研究に関しては、本年度夏に進めることとし、必要であれば手続きの上、来年度へと研究期間を延長して取り組みたい。
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Causes of Carryover |
旅費が予定より少額で済んだため。繰り越した金額は、コンピューター購入のため予定額を超過した物品費にあて、研究資料の収集、書籍購入等に使用する予定である。
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