2018 Fiscal Year Annual Research Report
Changing process of prosodic structures in Chinese northern dialects
Project/Area Number |
16K16820
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
八木 堅二 国士舘大学, 政経学部, 講師 (60771102)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 中国語 / 韻律 / 方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国の声調の分布について地図を作製し、声調変化の様相を考察した。音声的声調分布の地図では、最小1から最大14もの声調数が比較的なだらかに、北から南へと連続的に分布する様子がわかるが、音韻的声調数の場合、長江下流域に多く声調数の少ない方言が分布する。 また、欧米や中国においてはあまりかえりみられない橋本萬太郎(1978年)の中国語言語類型地理論について、最近の言語地理学的研究を用いて検証し、橋本の議論が現在でも意義のあることを示し、その上で文献調査に基づき中国語の韻律構造が北から南へと連続的に変化し、北部の方言ほど単語の音節数の多くなることを示した。 また、r化の形成が遅れて進行している山西省のr化語彙の頻度を地図化し、その拡散の過程を考察した。山西内部におけるr化の分布は、主に北部・中部・南部の三地域に分かれ、それらの地域の境界付近にはr化語彙を持たない地域が分布している。それぞれの語彙には関連性も見られ、互いに関連を持ちながらr化語彙が増加していることがわかった。 また、軽声化語彙の生起頻度について全国地図を描き、北方方言ほど軽声化割合が高く、南方方言では低く、北方方言でも山西や雲南で軽声化の進行が遅れることを示した。軽声化の進行する地域の周辺では変調頻度の高い方言が分布し、両者の関連が示唆されるが、山西方言を例に考察を深めた。山西の北部と南部では軽声化が進むが、中部では軽声が見られない地域があり、中部の周辺では後字連読変調が見られ、軽声の分布と地理的相補分布をなすことを発見した。このことは、軽声の前段階として後字連読変調が位置付けられることを示す。山西省には多種多様な後字変調類型が存在するが、変調から軽声にいたる過程の多様性が理解された。 さらに、リズムの指標となるPVI分析を漢語方言に適用するため陝西・江西・山西・江蘇などの方言調査を行い、その結果をまとめている。
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Research Products
(7 results)