2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16829
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Research Institution | Chuogakuin University |
Principal Investigator |
王 振宇 中央学院大学, 商学部, 講師 (70532191)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 邵陽県平話 / 湘語 / 漢語方言 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国湖南省邵陽県北部では「平話」という漢語方言が話されている。この方言は鼻音韻尾の脱落など周辺のことばと著しく異なる特徴を数多く有しているが、これまで調査や記述が殆ど行われず、未開拓な状況に置かれている。「平話」の話者は現在非常に少なく、しかも多くが70歳以上の高齢者である。このような消滅の危機に瀕した「邵陽県平話」の実態を明らかにし、できる限り多くのデータを残す目的で、研究代表者は今年度より記述研究を始めた。今年度の研究内容は方言調査、データ整理、論文執筆という3つである。(1)方言調査については、邵陽県岩口舗鎮に赴き、邵陽県平話を2回調査した。1回目の調査はインフォーマント確保を目的としたパイロット調査である。中国に行く前に、現地出身の知り合いの協力を得て3名の話者を候補者として確保することができた。ところが、これらの話者と実際に会ってそれぞれ面談した結果、そのうちの2名が一部の語彙しか話せず、インフォーマントとして適格ではないことが判明した。もう1名のインフォーマントについては、2回目の調査の時に調査票調査を実施した。その成果として500個あまりの単字音、1000あまりの語彙、40の文を録音の形式で採集した。(2)調査で得られた邵陽県平話の方言データに対する整理と分析の作業を行い、データベース構築の作業を進めている。(3)邵陽県平話および周辺方言の特徴について論文にまとめ、学術雑誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
邵陽県平話は消滅の危機に瀕しているため、話者数が非常に少ない。したがって、適切なインフォーマントを確保するのは非常に難しい。初年度の調査では適切なインフォーマントを1名確保することができた。また、インフォーマントに対する調査やデータの分析などを通して、平話に対する初歩的な認識を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.これから最も重点を置くべきところは適切なインフォーマントをさらに確保することである。方策としては、現地の知り合いと密に連絡を取り、適切なインフォーマントの候補者を見つけてもらう。2.平話の使用範囲を確定しなければならない。来年度は可能な限り、各村を訪問し、インタビュー調査などを通して平話の使用状況と使用範囲を調べる。3.調査で得られたデータに基づいて論文執筆と学会発表を行う。国内外の学術雑誌への投稿や学会参加を通して、社会への発信および同分野の研究者との意見交換などに取り組む予定である。
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