2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16840
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
川瀬 卓 弘前大学, 人文社会科学部, 講師 (80634724)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 歴史語用論 / 配慮表現 / 行為指示 / 副詞 / 前置き表現 / 定型化 / 不定語 / 近代語の分析的 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、副詞と前置き表現に注目して配慮表現の歴史的変遷を明らかにすることを目指すものである。2016年度における研究業績は以下のとおりである。
①書評論文「鳴海伸一著『日本語における漢語の変容の研究―副詞化を中心として―』」『日本語の研究』第12巻3号、日本語学会、2016年7月。②発表「前置き表現から見た行為指示表現の歴史―「よかったら」類を中心に―」(ワークショップ「行為指示表現の歴史語用論」)、日本語学会2016年度秋季大会、山形大学、2016年10月30日。③発表「不定語と助詞「ぞ」「か」「やら」の結びつきの東西差―落語SPレコードを中心に―」第268回筑紫日本語研究会、九州大学、2016年12月28日。④発表「副詞「ひょっと」の史的展開」第269回筑紫日本語研究会、熊本大学、2017年3月30日。
①は漢語の副詞化についてまとめられた著作に対して、研究の可能性や方法論の妥当性という観点から論評を行ったものである。②は条件表現由来の前置き表現の定型化に注目して、行為指示表現の歴史を考察したものである。なお、本発表を加筆修正した論文が2017年度中に刊行される予定である。③は不定の「ぞ」「か」「やら」の東西差と歴史的推移、および関連する文法変化について、落語を主な資料として考察したものである。本研究課題で考察する「どうぞ」「どうか」などの副詞の歴史的変遷と関わる。なお、本発表を加筆修正した論文が2017年度中に刊行される予定である。④は副詞「ひょっと」の意味変化と「ひょっとすると」「ひょっとしたら」「ひょっとして」などの語形への発展を考察したものである。「ひょっと」自体は配慮表現ではないが、「ひょっと」の史的展開からうかがわれる近代語の分析的傾向は、本研究課題にも関わる重要な現象である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、前置き表現の定型化から見た行為指示表現の歴史については、成果をまとめて、すでに論文集に原稿を提出している。「どうぞ」「どうか」については、当初の計画に比べて調査と考察が進んでいないが、一方で、それらに密接に関わる不定の助詞の東西差と歴史的推移に関する考察を進めることができた。また、近代語の分析的傾向についても考察が進んでいる。以上を総合的に見れば、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題は順調に進展しており、引き続き研究を進めていく。配慮に関わる副詞や前置き表現の歴史的変遷について考察するとともに、近代語の分析的傾向など、それと関わる問題についても考察を進める。
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Research Products
(4 results)