2018 Fiscal Year Annual Research Report
A typological survey on focus-marking in Ryukyuan languages
Project/Area Number |
16K16843
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
下地 理則 九州大学, 人文科学研究院, 准教授 (80570621)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 言語学 / 日本語学 / 方言学 / 琉球諸語 / 言語類型論 / 情報構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでの研究で収集した現地データを分析し、成果をまとめる年度である。以下に具体的な成果を述べる。本研究では、琉球諸語における焦点助詞(du, ga)による焦点標示の方言差(バリエーション)を記述するとともに,そのバリエーションに関して,可能なパターンを記述でき,不可能なパターンを予測できるモデルを提示することに成功した。扱った方言は15方言であり,これらの方言における焦点助詞の使用が、焦点タイプ(WH焦点vs. WH応答焦点 vs. 対比焦点)と焦点ドメイン(項焦点 vs. 述語焦点)の2つの変数で記述できることを示した。さらに、琉球諸語の焦点標示に関して,通方言的に以下の2つの階層を提案した。 (1) 焦点タイプの階層:対比 > WH応答 > WH (2) 焦点ドメインの階層:項 > 述語 琉球諸語の焦点標示に関して,この焦点階層(Focus-Marking Hierarchies)をもちいることで,「階層のある地点で焦点標示が可能なら,その左側でも焦点標示可能である」と一般化した。 上記の成果は、日本言語学会の学会誌『言語研究』の最新号(154号)における論文Information structure, focus, and Focus-Marking Hierarchies in Ryukyuan Languagesとして発表された。 上記の研究では、焦点標示が特に主語の格標示と大きく関連していることを指摘したが、そこから新たな研究テーマとして、日本語共通語のような、焦点助詞を持たない方言における主語の格標示の様相を描く研究に発展し、竹内史郎・下地理則の共著『日本語諸方言における格標示と分裂自動詞性』(東京:くろしお出版)として出版した。
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