2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical and Theoretical Study on the Development of Adnominal Modifiers in the History of English
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16K16852
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
茨木 正志郎 関西学院大学, 人間福祉学部, 准教授 (30647045)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 後置属格 / 再分析 / 二重決定詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年に引き続き、後置属格(二重属格)の出現と発達について、調査・分析を行った。昨年実施した中英語の史的コーパスPPCME2を用いた調査において、不定冠詞タイプの後置属格が出現したのは1350年頃で、指示詞タイプが出現したのが1450年頃であることを明らかにした。本年度は、史的コーパスPPCEMEとPPCMBEを用いて、近代英語期の後置属格の分布を調査し、不定冠詞と指示詞の両方の後置属格が、初出の以降の時期において、一定数確認できることを明らかにした。 Heltveit(1969)は、後置属格は二重決定詞(a my friend/my a friend)から発達したと主張している。すなわち、名詞前位位置で不定冠詞や指示詞と共起していた属格名詞が次第に限定性を強めたため、不定冠詞や指示詞と共起できなくなり、名詞の後ろに置かれ間にofが挿入された、ということである。そこで、二重決定詞について、史的コーパスを用いて、古英語~近代英語の分布を調査した。その結果、中英語に入ると二重決定詞の数が減少し、後期中英語までには完全になくなったことが明らかになった。二重決定詞の消失からすぐに後置属格が出現し始めたということになる。したがって、ここでのコーパスを用いた調査は、Heltveit(1969)での、後置属格は二重決定詞から派生しているという説を支持しているようである。 上での調査結果より、本研究ではHeltveitの説を仮定して、二重決定詞から後置属格の派生のメカニズムについて、Cinque(2010)での名詞句内におけるNP移動による分析を試みた。具体的には、基底構造は二重決定詞の構造になっているが、中英語にNP移動が可能になり、NPがNPより構造的に高い位置にある冠詞・指示詞と属格名詞の間に移動できるようになった、ということである。
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