2016 Fiscal Year Research-status Report
近代英語期における近接未来表現カテゴリーの創発に関する実証的研究
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16K16858
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Research Institution | Kumamoto Gakuen University |
Principal Investigator |
渡辺 拓人 熊本学園大学, 外国語学部, 講師 (00734477)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英語史 / 近代英語 / 未来表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代英語期を未来表現体系の再整理が生じた時代と捉え直すことで、英語未来表現の史的研究に新たな視点を提供することを目的としている。当初の計画では、研究初年度に当たる平成28年度は、近代英語期に出版された英訳聖書の調査を通じ、その点を掘り下げる予定であった。平成28年4月に生じた熊本地震の影響で、思うような実績をあげることができなかったが、当該年度中の研究実績の概要を2点挙げる。 まず、当初の計画では予定していなかった内容であるが、未来表現の発達を論じる際に、未来を指す時間節における動詞の形態という問題は重要であるため、それを規範文法に見られる言説との関連を念頭に置きながら調査した。仮定法現在から直説法現在へ置き換わるという大きな流れの中で、時間節ではそれが18世紀終わり頃に生じたこと、その理由として、直説法現在が使われる他の環境からの類推や語彙拡散という可能性を提示した。また、この問題に関して規範文法の影響はあまりなかったとみられることも指摘した。これは現時点では口頭発表にとどまっているので、内容を充実させて論文化したい。 もうひとつは今後の公表する予定の研究内容である。平成29年に開催される日本英語学会での「英語史における定型表現」というテーマでのシンポジウムが内定しており、特に近代英語期において、近接未来を表す表現間の競合関係について扱う予定にしている。現在、そのためのデータ収集等を行っているところである。 今後は、当初の計画で行うことにしていた英訳聖書の調査を本格的に開始し、計画通り研究を展開できるよう努めたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成28年4月に生じた熊本地震の影響で、研究代表者本人の研究環境が一時的に悪化したり、所属大学の学年暦等に大幅な変更が加えられたりして、十分な研究時間の確保が困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から遅れているため、まずはデータの収集と分析を急ぎたい。平成29年度についてはひとつ研究発表が内定しているが、それ以外でも公表できるよう、研究結果をできるだけ早く形にしたい。
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Causes of Carryover |
注文していた書籍が一部年度内に届かなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として文献資料の収集(特に初期近代英語期の作品集やコンコーダンスなどの言語資料)に用いる計画である。また、現時点で確定している研究発表に関わる旅費としても用いる予定である。
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