2016 Fiscal Year Research-status Report
英語独立分詞構文の主語の認可と統語構造に関する通時的研究
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16K16859
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中川 聡 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90566994)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 独立分詞構文 / 与格付与 / 統語構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は古英語の与格独立分詞構文の統語構造と主語と現在分詞に対する与格付与のメカニズムを解明することに主眼を置いた。 統語構造に関しては、先行研究や独自に行った史的コーパスを用いた調査結果から節構造である証拠が観察されなかったことと、古英語では現在分詞は形容詞的な特性を強く持っていたことから、vP構造に形容詞的な範疇特性を持つ-ende接辞が併合するAP構造であると分析した。 与格付与に関しては、独立分詞構文での与格は副詞的与格として付与されると分析し、Boskovic(2006)で提案された副詞的与格付与に関する分析を援用した。具体的には、独立分詞構文の主語は与格の値を付与された解釈可能な格素性をもって派生に入り、-ende接辞とのAgreeを通して現在分詞にも与格が付与されると提案した。この研究結果は第3回史的英語学研究会で発表された。 しかし、この提案は与格付与とθ役割の付与の関連性があいまいになっているという問題点も残っている。したがって、今後この問題を解決するか、別の視点からの新たな分析を提案するのかが今後の課題として残っている。別の視点からの分析の方向性としてラテン語の奪格付与の分析に注目する可能性がある。古英語の独立分詞構文はラテン語の奪格独立分詞構文の影響を強く受けて発達したと先行研究では報告されている。この点を踏まえ、ラテン語での奪格付与のメカニズムを古英語の独立分詞構文での与格付与に適用する分析も視野に入れることを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
古英語の与格独立分詞構文の統語構造については予定通り分析を進めることができたが、独立分詞構文の主語や現在分詞への与格付与の分析には課題が残されている。現段階の分析を修正するか、新たな分析を提示するかを検討している。、
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Strategy for Future Research Activity |
今後は中英語の独立分詞構文の変化について統語分析を進める。中英語では与格に代わり主格が主語に付与されるという変化が観察されるが、どのように統語構造が変化したのか、どのような要因が統語構造の変化を引き起こしたのかを明らかにする。古英語の独立分詞構文への与格付与の分析も中英語の変化との整合性のあるものを提示したいと考えている。
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Causes of Carryover |
今年度は研究に必要な文献を予想よりも多く国内で収集でき、当初予定していた海外出張に行く必要性がなくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度は研究の進捗状況に応じて、国内(国外)の出張費や研究図書の購入費に充てる予定である。
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