2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Diachronic Study on the Licensing of Subjects and the Syntactic Structure of the Absolute Participial Constructions in English
Project/Area Number |
16K16859
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
中川 聡 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (90566994)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 一致形態素の消失 / PP構造 / CP構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は中英語における独立分詞構文の発生頻度を電子コーパスを用いて調査し、初期中英語では観察されず、後期中英語に主格主語を伴うものとして再度観察されるようになったことを確認した。この頻度の変遷をChomsky(2013)で議論されているラベル付けアルゴリズムに基づいて理論的に説明することを試みた。中英語に入ると現在分詞が主語と性・数・格の点で一致を示さなくなったことから、現在分詞を形成する-ende接辞がφ素性を持たなくなったと提案し、古英語ではラベル付けアルゴリズムによってラベルが決定されていた統語構造が中英語ではそのラベルが決定されなくなり、独立分詞構文が初期中英語では観察されなくなったと分析した。また後期中英語になると独立分詞構文はCP構造へと発達し、定形節と同様にラベル付けアルゴリズムによってラベルが決定される構造に変化したため主格を伴うものとして観察されるようになったと分析した。研究期間全体を通して、先行研究では記述的な分析しかなされていなかった古英語、中英語における独立分詞構文に対して、その統語構造や主語への格付与メカニズムを明らかにすることができたため、本研究は有意義な成果を得ることが出来た。 また、本研究により古英語から中英語にかけて主語に付与される格が与格から主格へと変化した統語的要因としては現在分詞を形成する-ende接辞が一致形態素を失ったことであると分析されることとなり、通時的変化に言語事実と矛盾することなく理論的観点から説明を与えた点でも本研究の成果は価値あるものと考えられる。
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