2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16860
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
石澤 徹 東京外国語大学, 大学院国際日本学研究院, 講師 (00636095)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 語彙習得 / 音韻 / 学習者適性 / TOPRAモデル |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度課題として残した語彙認知に関する理論的背景の精査を中心に実施した。具体的にはTOPRAモデル(Barcroft, 2002)が本研究に援用可能かどうかを検証したうえで、文字と音の結びつきという点で、次年度、予備実験から行うこととした。 語彙の記憶には、形態・意味・そして両者の結び付けに対して処理資源がさかれる必要がある(Barcroft, 2002)が、日本語をL2として習得する場合、形式と呼ぶものがなんであるかがターゲット語および学習者のレベルによって異なってくる可能性が高い。初級であれば、新出語彙はひらがなで提示されるが、中級以上になれば、漢字をまず学び、漢語として語彙を提示されることも少なくない。これにより、Barcroftがターゲットとしている英語がL2の場合とは異なり、日本語学習においては形態の記憶・定着に割かれる処理資源が多く必要となるため、語彙の習得の負担が英語学習の場合とは異なっている可能性が高い。 他方、日本語の場合、学習者は「やっぱり」を「やぱっり」と誤認してしまうことが、当研究者の前科研の成果で明らかになっている。これは、漢字での学習が始まった後にもよく起こっているが、学習者自身の気づきを待つことが多く、指導に結び付けられていない現状がある。語彙学習における「形態の記憶」は、時間や量の前に「正確さ」が求められる。しかし、漢字とひらがなのどちらで語彙を覚えようとするかで、その語彙学習における形態の記憶の負荷が大きく違う可能性が考えられる。この点を軸に、今後、本科研の研究課題を定め、国内外の調査協力機関において、予備実験及び本実験を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
申請時と比較し、予備実験が実施できていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度、実験を実施することは確定しており、複数の機関で調査を実施することで、遅れを取り戻したい。
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Causes of Carryover |
実験を実施する際に使用する人件費が残っており、次年度実験を行うため、残額が発生している。次年度、国内外複数の機関において実験を行うことで解決できる。
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