2016 Fiscal Year Research-status Report
ワーキングメモリ容量に配慮した日本語読解指導のための基礎研究
Project/Area Number |
16K16861
|
Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
吉川 達 佐賀大学, 全学教育機構, 講師 (70599985)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | ワーキングメモリ / 読解能力 / 日本語学習者 / リーディングスパンテスト |
Outline of Annual Research Achievements |
本事業では大きく二つの課題を設けている。課題1.ワーキングメモリの個人差が反映される日本語読解テストがどのようなものか、明らかにする。課題2.ワーキングメモリが言語を超えて有効に働き出す日本語能力レベルを明らかにする。この二つの課題を明らかにするため、マレーシアと香港の研究協力者と共に平成28年度は以下のことを行った。 実績1.「3種類の日本語読解テストの作成」①「一般テスト形式」テスト:大規模試験でも用いられている形式のテスト。決められた時間内にある程度の分量を読まなければならず、質問によって読み方が限定されるためスキミング能力を測定する。②「即時理解」テスト:ある程度まとまった分量の文を読んで内容を答えるテスト。テストスキルを排し、内容理解に集中させるため、時間制限を設けず、選択肢を本文と同時に示さない。このテストでは、まとまった分量の文章を読んで内容を理解する能力を測定する。③「連文予測」テスト:完結した一文+未完成の文が提示され続きを予測するテスト。文の続きを正しく選択するためには提示された文を正確に読む必要があり、ごく短い文章を理解する能力を測定する。 実績2.「ワーキングメモリ測定のためのリーディングスパンテストの作成」調査対象となる漢字圏と非漢字圏日本語学習者のワーキングメモリを母語で測定するための中国語版リーディングスパンテストとマレー語版リーディングスパンテストを作成した。マレー語版は既に開発していたものを改訂した。また、日本語でもリーディングスパンテストを実施できるよう、日本語学習者版リーディングスパンテストも作成した。 実績3.「予備調査」上記実績1,2のテストに日本語習熟度測定のためのSPOT(Simple Performance Oriented Test)を加え、予備調査を行った。 実績4.「本調査の開始」予備調査の結果を踏まえ、一部本調査を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、28年度は調査のための各種テストを作成する予定であったが、実際は予備調査を行い、さらに一部本調査も開始することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
良好な進捗状況であるので、今後も調査を継続し、本調査の調査対象を拡大していく。本調査は、日本国内及び香港で行う予定である。また、調査が終わったものから結果分析に入る。
|