2018 Fiscal Year Research-status Report
ハワイ日本語テレビ放送の教育機能に関するメディア論的研究
Project/Area Number |
16K16865
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
白戸 智子 (松永智子) 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (60735801)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ハワイ / テレビ / 移動 / エスニックメディア / 家族 / インタビュー / 日本語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究をスタートさせたとき、その目的を次のように設定していた。すなわち、戦後ハワイの日本語放送史をまとめ、特に日系社会におけるテレビ文化の展開過程を考察することで、メディアによる日本語教育の可能性について論じるものである、と。産前産後の休暇および育児休業の取得に伴い研究活動を中断していた2017年度を経て、実質的な研究二年目に当たる2018年度は、主に文献調査と研究協力者との学術交流に集中した。その成果として、上記の研究目的のなかで想定していた「日系社会」という概念および実態について、より流動的かつ重層的なものとして捉え直すことができた。 2016年度におこなったフィールド調査(オアフ島ホノルル、マウイ島ラハイナにおける日本語テレビ視聴者へのインタビュー)で、インターネットを通じて日本のメディアに直接アクセスする(特に若い)「視聴者」の実態を目の当たりにし、彼らの「個人化するメディア経験」を記述する方法、そしてそれを考察するための理論について模索する必要性を強く感じた。そこで本年度は、(1)質的調査とりわけインタビューを行った調査の方法論に関する研究、(2)トランスナショナルなメディア文化圏に関する事例的および理論的研究、(3)「移動」する人々のメディア経験に関する社会学的研究という三つの観点で文献調査を行なった。 さらに、2016年度の研究成果の一部として平成29年度に発表した論文「行き交う人のふるさと」(共著、昭和堂)をもとに、ハワイ日系移民の盆踊り文化についてフィールドワークを続ける写真家・ジャーナリストや、国際的に「移動」する人々の家族・ホームとの関係性に着目するメディア研究者と交流することで、フィールド調査をめぐる人的ネットワークの構築および当該研究の新たな着眼点の獲得が可能となった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
産前産後の休暇および育児休業の取得に伴う補助事業の中断後、幸い、心身ともに健康な状態で研究活動を再開することができた。海外でのフィールドワークおよび研究成果発表の計画を見直し、本年度は文献調査と国内でのフィールドワークに集中するという新たなプランに沿って、当初の見通しとは違った形ではあるが、おおむね順調に遂行できている。
|
Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、昨年度控えていたハワイでのフィールドワークを再開し、理論研究の成果も踏まえて、成果の発表にも努めたい。研究計画は必要に応じて常に見直し、より精度の高い研究の実現を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究中断後の生活の変化により、本年度は、当初予定していた海外でのフィールドワークを控えたため。次年度に繰り越した助成金は、調査費用として使用する。
|
Research Products
(1 results)