2019 Fiscal Year Research-status Report
ハワイ日本語テレビ放送の教育機能に関するメディア論的研究
Project/Area Number |
16K16865
|
Research Institution | Tokyo Keizai University |
Principal Investigator |
白戸 智子 (松永智子) 東京経済大学, コミュニケーション学部, 准教授 (60735801)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ハワイ / 日本語メディア / コミュニティ / エスニシティ / 災害報道 / 地域メディア / 英字新聞 / O-Bon Festival |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、「在ハワイ日本語テレビ放送」の視聴者が、いかなる情報環境において番組を受容しているかを検討するため、新聞やラジオ、インターネットといった他メディアも含む複合的な日本語メディアの利用状況と、彼らの地域社会へのコミットメントのあり方に着目して調査を行い、考察を進めた。 具体的には、2019年7月にマウイ島のラハイナを訪れ、浄土寺院を拠点とした当地の一大イベントである”O-Bon Festival”(7月5、6日)の参与観察とメディア報道分析、日本語放送視聴者へのインタビュー調査を行なった。開教使一家を中心としたコミュニティは、供養の方法や料理、唄、踊りに自らのルーツを感じ継承しようと志向する日系の人々に支えられ、エスニシティの同質性よりローカルな紐帯の強さが際立っていた。その懐の深さに引かれ、毎年日本から訪れる常連ボランティアの存在は、コミュニティの多様性を一層豊かにしていた。これらはハワイの人々が「日本語番組を視聴する」文脈を理解する一助となり、インタビュー調査の結果と合わせてさらなる考察を深め、論考として発表する予定である。 また、2019年6月の日本マス・コミュニケーション学会春季大会(於 立命館アジア太平洋大学)にてワークショップ「英字新聞の災害報道」を主催し、外国語メディアが、とりわけ災害時には読者のニーズに応えるコミュニティメディアとして機能する事例を複数取り上げ、報道現場に携わった経験を持つ関係者とともに議論した。日本の英語メディアを対象としつつも、ハワイの日本語メディアについて応用しうる視点を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究成果に沿って課題や仮説を更新し、調査を実施しているため。一方、2019年度後半は、妊娠による体調不良のため以前のペースで研究活動を続けることが難しくなり、調査結果のアウトプットについては遅延が生じている。
|
Strategy for Future Research Activity |
妊娠・出産に伴いこれまでのペースで研究を続けることが困難なため、2020年度は一時中断し、2021年度の再開を予定している。最終年度においては、研究成果のアウトプットに集中し、論文及び書籍の刊行を目指す。
|
Causes of Carryover |
先述の通り、2019年度の後半は妊娠による体調不調のため、当初計画していた調査及び研究発表を延期せざるを得なかった。残額は、研究再開後、追加調査や資料収集の費用に当てる予定である。
|