2018 Fiscal Year Research-status Report
日本人英語学習者のリスニング理解にノイズが与える影響の研究
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16K16869
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
藤田 亮子 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00756281)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英語教育 / リスニング / ノイズ / 言語習得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はノイズが日本人英語学習者のリスニング理解に与える影響を検証することを目的とする。これまでの研究では、学習者の聴解とノイズの関係を量的(研 究1)、質的(研究2)に検証した。 今年度は、ノイズ付き音声が学習者の聴解に与える影響について、長期的研究を行った。日本人大学生2クラスを実験群(n =28) 統制群 (n = 28)とした。実験群 は、リスニングマテリアルにノイズを付加した音声を使用したディクテーションのリスニング活動を行い、統制群は、ノイズのない音声でのディクテーションの リスニング活動を行った。 実験は事前事後テストを含め、10週間行った。リスニング活動の際、学習者は毎時、聴解に関してジャーナルにコメントを書いた。事前事後テストは、ノイズあ り・なしの音声による多肢選択式リスニング問題を用いた。また学習者の振り返りとして、聴解に関する自信度とノイズが聴解に与える影響についてアンケート 調査を行った。分析方法は、事前・事後テストは、2元配置分散分析(事前事後テスト×統制群・実験群)を用い、学習者のコメント、アンケートは質的に分析 した。 結果、事前事後テストについて、ノイズがない音声の得点は、ノイズがある音声の得点よりも有意に高かったが、事前事後テストにおいては両群共に聴解力の向 上は見られず、交互作用も見られなかった。 事後アンケートの結果から、実験群では、ノイズに慣れてノイズ付音声を聞くことができたという回答も一部見られたが、両群共にノイズが気になるという回答 が多かった。よって、ノイズ付音声のリスニング活動を長期的に行っても、本研究の協力者においては、ノイズ付音声の聴解力に向上は見られなかったことが示 唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度までは、ノイズが日本人学習者の聴解に与える影響を、量的・質的両手法を用いて検証した。今年度は長期的研究を行い、ノイズ付音声のリスニング活動 を長期間行うことが、学習者の聴解に与える影響を検証した。今までの研究において、ノイズの度合いと文の予測性については検証することができたが、ノイズ の種類と聴解の関係性については、さらなる検証が必要である。今後はノイズの種類が学習者の聴解に与える影響を検証していく。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ノイズの種類の聴解への影響に焦点を当てて研究を行う。研究計画当初は、multi-talker babble、英語文、日本語音、ノイズなしの4 種類を行う予定 だったが、今までの研究結果から、ノイズがそれほど気ならない、など学習者の個人差の要因も影響することが分かった。よって、ノイズ音声の種類と聴解の関 係性についても検証していく。 また、ノイズの度合いについては、今までの研究結果から、聴解が困難であったSNR=0は省略して実験を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、実験を授業内で行ったため協力者への謝金が不要となったことである。 使用計画として、次年度で行う、実験のデータ収集後の分析の人件費に充てる予定であり、研究の更なるスピードアップ、精緻化を図る。
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Research Products
(4 results)