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2016 Fiscal Year Research-status Report

高等教育で求められる手話通訳スキルの研究―話者の論理・態度伝達のための訳出方略―

Research Project

Project/Area Number 16K16870
Research InstitutionTsukuba University of Technology

Principal Investigator

石野 麻衣子  筑波技術大学, 障害者高等教育研究支援センター, 特任研究員 (50589405)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2018-03-31
Keywords言語学 / 手話通訳 / 障害学生支援 / 高等教育 / 聴覚障害
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、高等教育場面における手話による聞き取り通訳(音声日本語から手話への変換)における方略について、「話者の論理や態度の伝達」の視点から明らかにすることを目的としている。研究は二段階に分けて実施し、第一段階では、高等教育場面における手話通訳経験の豊富な手話通訳者5名に依頼し、モデル手話通訳を撮影する。第二段階では、これらのモデル手話通訳映像を、高度専門領域において職務を行うろう者またはろう大学院生により評価する。これにより、発話内容に含まれる論理や態度を、どのように訳出することによってろう者に伝達しているのかを明らかにする。今年度は第一段階のモデル手話通訳撮影を実施し、分析を行った。
(1)期間:平成29年1月
(2)方法:高等教育場面における手話通訳経験豊富な手話通訳者5名に依頼し、モデル手話通訳撮影を実施した。通訳内容は、あらかじめ収録された哲学に関する講義20分間であり、音声日本語から手話への聞き取り通訳を行う様子をビデオカメラにて撮影した。手話通訳者には約1週間に講義に関する資料を送付し、事前学習をした状態で通訳を行った。また、手話通訳は通常、手話通訳を見るろう者に合わせて訳出方法を変更するが、今回は実際のろう者はいないため、大学院修士課程レベルのろう者と仮定して通訳を行った。
(3)分析:ELAN(マックスプランク心理言語学研究所が開発・提供するソフトウェア)を用い、各モデル手話通訳の訳出を語レベルで書き出し、どのような訳出傾向が見られるか分析中である。
2016年4月の障害者差別解消法施行にともない、高等教育における手話通訳に対するニーズは高まりつつあり、高度専門領域における手話通訳が可能な人材の養成は急務である。このことから、平成29年度は日本手話通訳学会等で発表し、研究成果を多くの関係者に還元することで、課題解決の一助としたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

第二段階の「ろう者によるモデル手話通訳評価」は、当初平成28年度内に実施予定だったが、これを平成29年度に延期した。その理由としては、第一段階の「モデル手話通訳撮影」の打診に多くの時間を要したことが挙げられる。
対象者となる手話通訳者は、高等教育における手話通訳経験が豊富であることを条件としているが、これにあてはまる人材がもともと少なく、さらに高い技術を持つ通訳者は多忙であるため、スケジュールの調整も難しかった。
また、高等教育における手話通訳技術が自らに足りないと考える通訳者が存在し、これらの理由で撮影を辞退されたケースも想定より多かった。
当然のことながら、撮影を辞退した手話通訳者が責められることはない。多くの手話通訳者が高等教育における手話通訳技術に確証を持てずにいると考えられ、本研究を進めることでこの状況の改善に寄与したいと考える。

Strategy for Future Research Activity

平成29年度は、第一段階の「モデル手話通訳撮影」については、一名の手話通訳者について追加で撮影し、より多様なモデル手話通訳を収集したい。さらに、第二段階の「ろう者によるモデル手話通訳評価」を実施し、どのような訳出技術がろう者への話者の論理や態度の伝達を可能にするのかを分析する。最終的には、第一段階と第二段階のデータをあわせた分析を行い、成果を平成29年度日本手話通訳学会(平成29年6月24日、25日開催予定)、平成30年度日本特殊教育学会(平成30年9月開催予定)等にて発表し、研究成果を手話通訳者、ろう者、聴覚障害学生支援に関わる関係者等に還元していく予定である。

Causes of Carryover

研究の第一段階である「モデル手話通訳撮影」において、手話通訳者のスケジュール調整の困難、及び自らの手話通訳技術の不確かさを事由とした打診の辞退が続いた。この影響で、今年度内に予定していた第二段階「ろう者によるモデル手話通訳評価」を次年度に延期した。よって、ろう者による評価実施に関わる旅費・謝金・その他(会場借用費、機材運搬費等)等において次年度使用額が発生している。

Expenditure Plan for Carryover Budget

研究の第二段階「ろう者によるモデル手話通訳評価」を実施し、協力者に旅費・謝金を支払う。また、多忙な評価者のスケジュールに合わせ、アクセスの良い会場にて研究を実施するため、都内または評価者の在住する地域の貸会議室を借用する。このため、会議室借用費及び評価用機材運搬費を支出する。

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Published: 2018-01-16  

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