2016 Fiscal Year Research-status Report
グローバルエデュケーターとしての英語教員を目指す統合的留学プログラムの効果と課題
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16K16883
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 彩子 玉川大学, 文学部, 准教授 (00570441)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際共通語としての英語 / 英語教員養成 / 地球市民育成 / 留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は英語教員養成課程に統合された約9か月間の留学プログラムが、地球市民育成の役割を担うようになった英語教員というプロフェッションに対する理解にどのような変化をもたらすのか、英語教員を目指す学生を追跡調査し、英語教員養成に有効な統合的留学プログラムの要素を明らかにすることを目的としている。 【研究方法】研究代表者が所属する玉川大学文学部英語教育学科の留学プログラムを対象とし、アンケート、半構造化インタビュー、観察調査を通して、留学前・留学中・留学後の意識の経時変化を把握・分析する。この他に、関連分野の文献調査、他大学の類似プログラムとの比較を通して、目的を達成することを目指している。 【研究成果の意義・重要性】国際共通語としての英語(English as a Lingua Franca)、英語教員養成、地球市民育成という多角的・複合的な視点から学生の留学前から留学中(留学先滞在1か月目・6か月目)の意識変化を検証した暫定的な結果の1つとして、留学前にどのような知識・態度を英語という言語に対して抱いているのかにより、留学中の体験の理解が左右されるという点が挙げられる。この点は留学プログラムを教員養成に有効なものにするためには、留学前教育が重要であるということを示唆している。今後、留学終了後の意識を詳細に調査し総合的に検証していく必要があるが、学生たちが英語教員という職業に必要な知識・態度・スキルを最大限に発展させるためには、留学を留学前教育からの1つのパッケージとして捉えることが必要であるという点を見いだせたことは意義深い。 【成果の公表】口頭発表(2016年6月)[The 9th International Conference of English as a Lingua Franca]*留学プログラムの検証の結果の一部を公表
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、9か月間の留学プログラムを通して、学生が英語教員というプロフェッションに対する理解をどのように変化させるのかを経時的に追跡し、教員養成に有効な留学プログラムの要素を洗い出すことである。平成28年度に実施した調査は1)玉川大学文学部英語教育学科の留学プログラムの構成要素の確認・留学前教育の内容確認、2)留学前アンケートの実施(平成28年8月)、3)現地インタビュー調査2回(平成28年9月、平成29年2月)、4)留学中アンケートの実施(平成29年2~3月)である。1)に関しては、類似したプログラムを有する大学のプログラムと比較を行う予定だったが、研究対象の研究代表者の所属校の分析のみにとどまっている。2)に関しては、ほぼ分析を終了している。その分析結果の一部を平成29年6月に行われるThe 10th International Conference of English as a Lingua Francaで発表(ポスター展示)予定である。3)の現地調査については、研究計画の時点ではイギリスの2大学に留学中の学生を中心にインタビューを実施し経時変化を追うことを予定していた。平成28年9月はイギリス2大学だけでなくアイルランド1大学を訪問し、学生10グループ35名とそれぞれの大学のプログラムディレクター3名にインタビューをすることができた。平成29年2・3月にも同じ大学に訪問し、学生に再度インタビューをすることを予定していたが、校務の都合により訪問することができなかった。その代り校務の関係で、アメリカの大学2校を訪問することとなり、その際に空き時間を活用し、それらの大学に留学中である10グループ30名にインタビューを行った。これら2回のインタビュー調査のデータは現在整理中であり、分析には至っていない。4)に関しては回収が終わり、結果の集計に入る段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度の研究に関しては、計画より遅れが生じているため、以下のように行っていく。 【平成29年度4~6月:デスクワーク】a. 平成28年度に行った現地インタビュー調査のデータ整理・分析の実施、b. 留学後の学生に対するインタビュー調査の計画(参加者の募集・インタビューガイドの作成)、c. 6月中旬に行われるポスター発表の準備。 【平成29年度7・8月:留学後調査/データ収集およびデスクワーク】a. 留学終了後の学生へのインタビュー調査(15~20名程度を予定)、b. インタビューデータの整理、c. 第56回全国英語教育学会(8月29日~31日)での論文発表の準備。 【平成29年度9月~3月:デスクワーク】a. 帰国後インタビューのデータ分析、b. 全てのインタビューデータ・アンケートデータからの学生の意識変化の掌握・検証、c. 変化を与えた留学プログラムの要素の抽出・検証、及び課題の抽出・検証、d. 地球市民教育従事者としての英語教員養成に有効な留学プログラムの要素の検証・提案、e. 研究結果報告論文の作成・専門誌への投稿。 【研究の遅れを取り戻す工夫】計画当初は平成29年度春に1回の現地調査を計画していたが、校務の都合により現地訪問が不可能であること、また平成28年度に行ったインタビュー調査のデータ整理・分析が遅れていることから、これを行わず、その時間をデータ整理・分析に充てることとする。インタビューデータの書き起こしは計画では研究代表者本人が行う予定だったが、想定よりも多くのデータを収集することができたため、外部業者に委託する。
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Causes of Carryover |
計画では平成28年度2月にイギリスを訪問し現地調査を行う予定であったが、校務の都合により渡航期間を確保することができず、諦めざるを得なかった。その結果、滞在にかかる経費支出が減少したことで差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越された助成金については、インタビューデータの書き起こし費用に充てる予定である。当初はインタビューデータの書き起こしを研究代表者により行うこととしていたが、これを外部業者に委託する。
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Research Products
(1 results)