2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16884
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
篠原 靖明 早稲田大学, 商学学術院, 専任講師 (10732737)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 音声知覚 / 第二言語 / 事象関連電位 / Mismatch Negativity |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本語話者による音声の知覚能力を行動的評価だけでなく脳波の観点から評価することを目的としている。昨年度(平成28年度)は、子音に対する知覚能力を行動実験及び脳波測定実験を用いて調査した。本年度(平成29年度)は、その実験を継続して行い、より多くのデータを収集し、その分析を終えた。我々はその成果を国際学会(Society for the Neurobiology of Language 2017)にて発表した。 子音の知覚能力に加え、本題である母音の知覚能力の調査も開始した。本研究は、日本語話者にとって第一言語である日本語の母音体系が、外国語/第二言語である英語の母音を知覚する際にどのような影響を及ぼすのか調査することを狙いとしている。そのため、まずは基本となる英語話者による母音知覚能力を調査する必要がある。米国デラウェア大学を訪問し、そこで予備実験として、アメリカ英語話者が母音をどのように識別するか調査した。帰国後、早稲田大学で日本語話者を対象とした同様の実験を実施した。英語話者に使用したのと同じ刺激音を用いて、日本語話者に対しては、日本語の母音としてどのように識別するか調査した。同じ刺激音を用いてそれぞれの言語の母音識別能力を調査できたため、英語の母音体系と日本語の母音体系を比較することに成功した。 今後は、その結果をもとに3種の英語母音を刺激音として選定し、日本語話者が英語母音を知覚している際の脳波を測定する実験を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、初年度は子音の知覚能力を測定し、二年目となる本年度には、母音の予備実験を行った。来年度は被験者数を増やして、行動的評価と脳波測定の両方を実施する予定である。以上のことから、概ね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず本年度(平成29年度)に行った行動実験への参加者を増やし、再度実験を遂行する。早稲田大学では日本語話者を対象として、日本語母音の知覚能力を計測する。デラウェア大学では英語話者を対象として、英語母音の知覚能力を計測する。その後、その結果に基づき、脳波計測で使用する3種類の英語母音の刺激音を選定し、テストプログラムを作成する。脳波計測についても、英語話者に関してはデラウェア大学で、日本語話者に関しては早稲田大学でデータを収集し、それぞれ英語母音3種を知覚している際の脳波を測定、分析する。日本語の母音体系が、英語の母音知覚に与える影響を調査し、これまで行動的評価により構築されてきた第二言語音声知覚の理論を検証する。その後、その結果を国際学会で発表し、論文にまとめて国際ジャーナルへ投稿する予定である。
|
Causes of Carryover |
本年度(平成29年度)3月に渡英し、ロンドン大学の研究者と本実験に関する打ち合わせを計画したため、前倒し請求を行った。しかしながら、3月の打ち合わせは実現できなかったため、次年度使用額が生じた。その分は次年度に米国デラウェア大学で実験を遂行するための費用として使用する。
|
Research Products
(5 results)