2017 Fiscal Year Research-status Report
英語基本語における難易度別語義データベースの構築とその妥当性と実用性の検証
Project/Area Number |
16K16888
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Research Institution | Shumei University |
Principal Investigator |
星野 由子 秀明大学, 学校教師学部, 准教授 (80548735)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 語彙習得 / 多義語 / 英語教科書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、英語における基本語の難易度別語義データベースを作成し、その妥当性と実用性を検証することである。平成29年度の目標は、平成28年度の研究で再分類した基本語の意味を中学校英語教科書・レベル別多読教材と比較して難易度別に並べ替え、基本語の難易度別意味データベースを構築することであった。 本年度は、平成28年度に改訂された6社の中学校英語教科書をすべてテキスト化して中学校英語教科書のコーパスを作成し、中学校英語教科書において、平成28年度に選定した基本語のどの意味がどの段階で現れているのかを調査した。6社の英語教科書では出版社ごとに単語の意味分類が異なったため、それぞれの語について、「英語多義ネットワーク辞典」に基づいて意味の分類を行なった。そして、分類された意味カテゴリーに照らし合わせて語の意味を分類し、その意味が各教科書において何年生の前半もしくは後半に現れているのかを分類した。また、この他にEnglish Vocabulary Profileを用いて難易度をタグ付けした。English Vocabulary ProfileはCEFRで定められているA1からC2までの6レベルに各単語の意味を分類しているため、どの意味がどの難易度なのかが判別しやすくなっている。この研究結果については、Hawaii International Conference on Educationにおいてポスター発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度の目標は、平成28年度の研究で再分類した基本語の意味を中学校英語教科書・レベル別多読教材と比較して難易度別に並べ替え、基本語の難易度別意味データベースを構築することであり、これを達成することができた。このデータベースは申請者のWebページでも公開している。 本来はそれと同時に、主に日本語母語話者用の教材のみを扱うのではなく幅広い教材を扱うために、レベル別多読教材のコーパス内における基本語の意味が現れているレベルも調べることを想定していた。しかし、本データベースは母語を日本人の英語学習者を対象としており、多読教材は現在のところ省いている。しかし、多読教材での調査を行わなかった代わりにEnglish Vocabualry Profileに基づいて難易度のタグ付けを行なった。English Vocabulary Profileは語の意味についてCEFRで難易度がつけられており、次年度の調査ではこの難易度に基づいて日本人英語学習者の語彙知識と比較する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作成したデータベースに基づいて、様々な英語熟達度を持つ学生たちに対して多義語を提示し、その意味の正解率とEnglish Vocabulary Profileでの難易度、さらには中学校英語教科書において初出の段階とを比較する。これによって、(a) 初出が早い単語でありかつ正答率が高い単語、(b) 初出が早いのにも関わらず正答率が低い単語、(c) 初出が遅いが正答率が高い単語、(d) 初出が遅く正答率も低い単語の4カテゴリーに分類する予定である。(a) と (d) についてはインプット量やインプットされる早さがそのまま正解率に結びついていると考えられるが、(b) や (c)に分類された単語にはどのような特徴があるのかを調べる。特に、(b) のようにインプット量が豊富であるにも関わらず定着していない単語について、どのようにすれば定着していくのかを検討していく。
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