2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16892
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Research Institution | Kobe College |
Principal Investigator |
下村 冬彦 神戸女学院大学, 共通英語教育研究センター, 専任講師 (80755744)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 高速オーバーラッピング(高速被せ読み) / 効果的な英語リスニング教授法 / リスニング力向上には発音より発話スピードの向上 |
Outline of Annual Research Achievements |
学習者の発話速度がリスニング力の伸びに有意差を与えるかどうかを調べるため、被験者を速度のやや遅めの高速オーバーラッピング(テキスト付きシャドーイング)を行うグループ(グループA)と、速度の速い高速オーバーラッピングを行うグループ(グループB)に分けて、10週間この速度の違う高速オーバーラッピングを含む英語授業を受講してもらい、受講前と受講後にTOEICを受験してもらった。2グループの受講前と受講後でのTOEICのリスニングスコアの伸びのグループ平均点に、優位差は見受けられなかったが、各グループより6人ずつ無作為に抽出した合計12名のケーススタディ学生対象のインタビュー調査の結果、「発音や速度を上げた時に起きる音の変化をモデル音声に近づけることを意識した」と答えたケーススタディ学生数名よりも、「発音がモデル音声通りでなくても発話速度を上げて、高速で再生される音声のスピードに遅れずに発音することを優先した」ケーススタディ学生数名の方が、TOEICのリスニングスコアに2、3倍もの大きな伸びが見受けられた。統計分析の結果、発話速度とリスニングスコアの伸びには優位な相関性は見受けられなかったが、インタビューデータ分析の結果を考慮し、発話速度とリスニング力の伸びに関して、2グループ間の発話速度にさらに大きな開きをもたせての調査が必要であると考察される。また、シャドーイングやオーバーラッピングは、英語が苦手な学生に対して有益であるというのが通説であるが、本研究ではかなり英語が得意な学生数名が、オーバーラッピングの授業の受講後に100点以上リスニングスコアを伸ばしている為、オーバーラッピングが、もう既にある程度ボトムアッププロセシングができている学生に対して、どのくらい更なる認知の自動化やトップダウンプロセシングの効率の向上を促進しうるのか、についてもさらなる研究が必要であると考察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
最終段階での分析をより正確に行うにあたり必要である、購入予約済である書籍が書店の在庫の状況により入荷が大幅に遅れた為(2017年11月10日に購入予約済、当初は1月中旬配達の予定であったが大幅に遅延)。このため、最終段階での分析がこの書籍の到着後にしか行えず、最終段階での学会発表や最終的な論文の執筆完了が予定よりやや遅れているため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終段階でのデータ分析を続け、応募時点では知り得なかった、より本研究の内容と合致している音声の発話や音声認識に特化した"ExLing 2018: 9th Tutorial and Research Workshop on Experimental Linguistics"学会にて研究発表を行い、当該分野での外国の研究者との意見交換の機会を持ち、今後の当該分野での研究を続けるにあたり有益な情報が得られるよう、研究発表を行う予定である。また完成した論文の国際学会誌への投稿を予定している。
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Causes of Carryover |
最終段階での分析をより正確に行うにあたり必要である、購入予約済である書籍が書店の在庫の状況により入荷が大幅に遅れた為(2017年11月10日に購入予約済、当初は1月中旬配達の予定であったが大幅に遅延)。このため、最終段階での分析がこの書籍の到着後にしか行えず、当該年度内には最終段階の前段階での分析しか行えていないため、研究発表の回数が予定より少なく、旅費の支出が減ったため。次年度使用額は、応募時点では知り得なかった、より本研究の内容と合致している音声の発話や音声認識に特化した"ExLing 2018 9th Tutorial and Research Workshop on Experimental Linguistics"学会にて研究発表を行い、当該分野での外国の研究者との意見交換の機会を持ち、今後当該分野での研究を続けるにあたり有益な情報を得るために使用予定である。また、上記の書籍の到着遅延により、研究成果論文の執筆が当該年度に終わらないため、論文刊行時の諸経費も次年度使用額から支出の予定である。
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