2017 Fiscal Year Research-status Report
日本中近世移行期の対外関係における連続と変容―遣明船を起点として―
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16K16902
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡本 真 東京大学, 史料編纂所, 助教 (50634036)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本史 / 交流史 / 対外関係史 / 遣明船 / 倭寇 / 南蛮貿易 / 朱印船 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、本研究課題の遂行のため、3件の史料調査をおこなった。まず2017年8月には、北海道松前町に赴き、松前氏旧蔵資料で、同氏の祖武田信広がアイヌとの交易により得たと伝わる一方で、遣明船によってもたらされた旨を記した由来書の存在も確認されている文物を調査した。次に、同8月終わりから9月はじめには、ポルトガル国リスボンに赴き、同国国立文書館において、2017年度にイタリア国ローマで実施した調査に引き続き、日本とスペイン領フィリピン総督とのあいだで交わされた外交文書の写本を調査した。そして2018年3月には、国立公文書館において、中世末期・近世初頭の外交文書写本の調査を実施した。 また、本研究課題に関する3件の研究報告をおこなった。まず2017年9月には、ポルトガル国リスボンのリスボン新大学において開催された第15回EAJS会議においてThe flexibility of the tally system between Muromachi Japan and Ming Chinaと題する報告をおこなった。次に、同10月には、名古屋大学中世史研究会において、「弘治年間の遣明船の歴史的位置」と題する報告をおこなった。そして2018年3月には、海域アジア研究史合宿において、「戦国期の京都商人と対外貿易」と題する報告をおこなった。 これらを通じて、本研究開始以来追究してきた、遣明船貿易とそれ以後の貿易のつながりについて、実証的な成果を披瀝した。その他、前述の調査による成果や、報告に関連する論文を、学術論文として公表すべく準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
4箇年の研究計画の折り返し地点にあたる現在に至るまで、当初の予定と比べると、史料調査先の一部を変更した。だが、これは効率的な推進を図ったがゆえのもので、研究自体は予定通り遂行できている。こうした状況を踏まえ、上記区分に該当すると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には、交付申請書に記載した研究実施計画に沿って推進する。ただし、これまでの研究遂行の過程で、新たな史料に関する情報を入手してきたし、今後もそうした情報の蓄積が見込まれる。そのため、知り得た事柄を考慮して、必要かつ適切であると判断された場合には、史料調査先を変更するなど、研究がより効率的に推進できるように手立てを講じる予定である。
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Research Products
(3 results)