2016 Fiscal Year Research-status Report
幕藩制国家の公文書管理の構造と法概念形成過程の研究―公事方御定書を素材に
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16K16906
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| Research Institution | Kumamoto University |
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Principal Investigator |
安高 啓明 熊本大学, 文学部, 准教授 (30548889)
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2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 公事方御定書 / 幕府法制資料群 / 大名家法制資料群 / 長崎奉行 / キリシタン / 博物館 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
原本が存在しない公事方御定書の写本の作成状況、伝播過程を分析し、幕府の公文書管理のあり方と近世人の法認識について九州地方を中心に調査した。とりわけ2016年度は、福岡・熊本・長崎・東京へ調査に出向き、その状況確認を行った。写本した主体が明確なものと不明確なものとが混在しているなかで一次精査を実施した。また、条文の正確・不正確なものもあり、今後、従来の研究成果との照合作業を実施する予定である。本年度の調査を通じて、幕府の秘密主義のあり方がいかに瓦解していたのかを示す資料の所在もわかった。幕府の公文書でも重要とされている公事方御定書のずさんな管理状況、その漏洩過程も一部を詳らかにすることができた。あわせて、法の運用の観点からキリシタン処分について調査し、江戸幕府から明治政府への裁きの変容について成果を発表した。
こうした研究成果を公表するために学会・論文発表のほかに、博物館施設などでの展示活動で発信に努めた。11月13日に東京大学本郷キャンパスでおこなわれた（財）史学会114回大会では「長崎奉行所における司法制度改正過程」を発表した。また、熊本大学附属図書館で11月4日から6日まで「熊本大学附属図書館貴重資料展 熊本藩法と犯罪史―裁く人と裁かれる人たち」を開催することができた。展覧会開催にあわせて公開講演会の実施、解説目録（18頁）を作成し、一般、地域社会への還元、社会貢献事業をおこなうことができた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熊本地震の影響で研究の遅滞が懸念されたが年末にかけて調査を進めることができた。当初予定していた地域への調査にあたった。しかし滞在期間の短縮により、来年度持ち越しの調査資料もあるため、速やかに対処していきたい。
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| Strategy for Future Research Activity |
今後は、調査に訪れなかった東北地方（宮城・福島）と東京を重点におきたい。あわせて熊本藩法制資料については引き続き調査していく。
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