2018 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation into the real situation about academic interaction between Heidelberg University and Japan in the 1920s
Project/Area Number |
16K16915
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
久野 譲太郎 同志社大学, 人文科学研究所, 嘱託研究員 (10755391)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ハイデルベルク大学 / ヴァイマール期 / 1920年代 / 学術交流 / 留学史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ヴァイマール期ハイデルベルク大学との学術交流の実態について、主に現地に保存される資料群を収集・調査することを通じて、実証的に解明した。 従来、当時期における当大学との学術交流は近代日本の学知形成や思想形成に対し重要な影響を与えたとされながらも、その詳しい実態は全く不明であり、資料の存在すらも知られてはいなかった。そのため、本研究により、従来認知されていなかった国外に存在する多くの資料群が日本に収集・蓄積されるとともに、またこれらを通じて、今後、近代日本の学知形成過程の新たな側面や性格を解明するためのきわめて貴重な基礎的データと条件が整備されることとなった。 その具体的な成果として、当時期、ハイデルベルクに留学した全日本人知識人たちの名簿とその詳細な情報、また彼らの全資料を解説とともに目録化した報告書が発表されるはずである。またその作成過程でヴァイマール期ハイデルベルク大学の日本人学生の概要について研究論文も執筆した。ただし、これらは現時点では公開されていない。今夏ハイデルベルク大学でおこなわれる予定の招待講演をふまえ、その後、近日中に日本で公表する見通しである。 なお、こうした基礎的研究のみならず、本研究では、当時の留学生たちのなかから具体的に数名の知識人を抽出して紹介し、その思想的影響を実際に検討する作業も遂行した。手始めとしてまずは、当時の留学生の一人であり、近代日本の学界や思想界に大きな足跡を残した法学者である恒藤恭のハイデルベルク留学時代の動向と思想について紹介・解明した。こうした知識人の当地における具体的動向の追跡と思想史的研究は、今後更に、本研究で明らかにした基礎的研究を土台として順次本格的に展開してゆく計画である。また今後はヴァイマール期のみならず、その後のナチズム期にまで調査・研究の対象を拡大し、展開する計画である。
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