2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16918
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
山本 祥隆 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (50610804)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 木簡 / 法隆寺献納宝物 / 鳥取 / 年輪年代 / 平城 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、まず、研究環境の整備に関する作業を行った。具体的には、『木簡研究』をはじめとする木簡関連書籍や、それ以外を含む日本古代史全般に関わる書籍類を収集し、ノートPCなど研究に欠かせない器具類を購入・調達した。ただし、未だ十全に備わっていない書籍類などもあり、平成29年度以降も研究進捗状況に鑑みつつ同様の作業を継続していきたい。 また、平成28年度は6月に東京都、11月に鳥取県に出張し、古代木簡実物の熟覧調査や出土遺跡の現地踏査などを行った。具体的には、6月には東京国立博物館に赴き、「法隆寺献納宝物」中より新たに発見された7世紀に遡る可能性が高い木簡の調査・釈読に従事した。その成果は、7月22日に「新発見の木簡―7世紀に遡る最古級の伝世品―東京国立博物館で初公開」として記者発表されている。11月には、鳥取県埋蔵文化センターおよび公益財団法人鳥取県教育文化財団に依頼し、両所所蔵の古代因幡・伯耆両国木簡を熟覧調査するとともに、木簡出土遺跡を含む青谷横木遺跡・青谷上寺地遺跡・大桷遺跡・下坂本清合遺跡・因幡国庁跡などの鳥取県内各遺跡を実地踏査し、今後の研究に資する極めて有意義なデータおよび経験を得ることができた。 加えて、上記の研究成果を本務とする平城宮・京跡出土木簡の整理・調査・分析・研究に反映させつつ、学会報告(2回)・著書刊行(共著1冊)・講演会(1回、山本祥隆「なんと美しき平城京 -都づくりの日々の一コマ-」〔奈良文化財研究所第118回公開講演会、2016年6月18日、於奈良文化財研究所・平城宮跡資料館講堂〕)などを行った。他にもさまざまな媒体での執筆活動などを行い、成果の発信に努めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、研究環境の整備に努めるとともに、年間2回の出張により木簡実物の熟覧調査や出土遺跡の現地踏査を実施した。また、それらによる成果を奈良文化財研究所での本務ともリンクさせ、2回の学会報告をはじめとする各種の成果発信を行うことができた。以上から、研究計画はおおむね順調に進捗していると考える。 ただし、当初計画では年間3回程度の出張(熟覧調査)を予定していたが、本務である発掘調査が予定外に延長したことなどにより、計画どおりに実行できなかった面もある。これらについては、平成29年度以降、より一層の計画進行に努めたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、平成28年度に実行できなかった分も含め、木簡実物の熟覧調査および出土遺跡の現地踏査により一層励むことを目標としたい。 その上で、平成28年度と同様、本務である平城宮・京跡出土木簡の整理・調査・分析・研究とも連関させつつ、成果の発信に努めることとする。現状ですでに予定している学会報告や論文発表などもあり、まずはこれら成果の完成を目指して注力していきたい。 平成30年度については、平成29年度の研究進捗状況により、柔軟に計画の立案と実行を目指すこととする。
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Causes of Carryover |
平成28年度は、本務である平城宮・京跡の発掘調査が予定以上に延長したこともあり、若干の次年度使用額を生じることとなった。ただし、それも支払請求額の3%未満であり、平成29年度分とともに有効に活用していきたいと考えている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は、年間3回程度の出張(木簡熟覧調査など)を予定していたものの、実際には年間2回の調査しか行えなかった。また、PCや書籍の購入・収集など研究環境の整備にも努めたものの、未だ十全でない部分もある。平成28年度に生じた次年度使用額については、平成29年度の木簡実物調査や研究環境のさらなる整備において有効に活用していきたいと考えている。
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