2016 Fiscal Year Research-status Report
ムスリム家族・近代・イスラーム法廷：19世紀イラン女性の権利主張戦略
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16K16921
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| Research Institution | The University of Tokyo |
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Principal Investigator |
阿部 尚史 東京大学, 大学院総合文化研究科, 特任助教 (20589626)
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| Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 中東家族史 / イラン / 19世紀 / 女性史 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
28年度は、中東女性史・家族史にかかわる基本的な資料の収集をまず行った。平成28年6月11日には、イスラーム・ジェンダー科研（代表：長澤栄治）のシンポジウム（於東洋文化研究所）で、「手段としての女性史」と題する報告を行い、中東・ムスリム女性史研究のこれまでの在り方と報告者の研究の意義を説明した。
そのほか、とくにこれまで研究が不足している、19世紀イランの婚姻について、法学的側面と社会的側面から明らかにしてきた。史料としては、イスラーム法学書のほか、法廷文書、地方史史料、警察史料のほか、嫁資財産一覧を分析し、史料間の差異から見える、婚姻の多面的なあり方を調べた。その結果を、日本イスラーム協会の「理論と動向研究会」における、招待講演として報告した（2017年3月8日、於東京大学文学部イスラム学研究室）。
19世紀末から20世紀初頭の女性の権利をめぐって、議会でどのような議論が交わされ、また記録されたのか調査するために、平成29年2月11日から3月3日までイラン・イスラーム共和国に出張し、主に議会図書館とテヘラン大学図書館において調査を行い、関係する史料を収集し、現在分析を進めているところである。
また、平成28年中に予定していたマールブルク大学（ドイツ）での研究報告と調査を中止し、それにかえて、平成29年4月3－5日に、ナポリ東洋大学（イタリア）での中東家族史に関する研究会に参加し、報告を行うこととした（4月8日本報告執筆時実施済み。穂国題名 "Tabrizi Notable Family and Family Property"）。同地にて研究報告と講演を行う機会に恵まれ、特に独仏において中東家族史を大々的に行う研究者たちとの交流ができ、国際的なネットワークの構築にきわめて有意義な参加となった。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
女性史研究の動向に関する報告を行い、その報告要旨が刊行された。また、婚姻にかんする研究報告を行い、現在、それをさらに発展させている途上である。ドイツ・マールブルク大での報告をとりやめ、次年度直後のイタリア・ナポリ東洋大学での中東家族史にかんする国際会議（平成29年4月3－5日）に参加を振り替えたことによって、年度を越えてしまったものの、非常に有意義であり、またナポリ東洋大学のミケーレ・ベルナルディーニ教授には、来年または再来年に再び同大学にて国際研究会を開催する計画を提案し、好意的な回答を得ることができ、フランス国立科学研究所CNRSのマリア・シュッペ博士とも、来年または再来年、研究会をパリにて開く計画を提案し、現在検討してもらっているところである。こうした点からも、計画を変更してナポリの研究会に参加したことは非常に良い結果をうみつつあるといえよう。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度末の日本イスラーム協会での招待講演や、4月3－5日のナポリでの国際研究会の成果を踏まえて、婚姻と財産に関する研究をさらに深めて、女性の婚姻と社会の関係をあつかう論文の執筆を進める。
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| Causes of Carryover |
2016年10月に予定していたドイツマールブルク大学での研究報告と調査に代えて、2017年4月2－5日に開催されたイタリアのナポリ東洋大学で開催された家族史のワークショップに参加することにしたため（4月13日現在執行済み）。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
2017年度は、婚姻と社会の関係を中心に研究を進める予定であり、法文書のほか、警察史料や議会史料を用いる予定である。
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Research Products
(5 results)
