2017 Fiscal Year Research-status Report
13-15世紀ペルシア語文化圏における文芸活動の隆盛と宮廷文化
Project/Area Number |
16K16922
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 修 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (00733007)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | ペルシア語文化圏 / イルハーン朝 / ティムール朝 / 普遍史 / 写本研究 / 文芸活動 / 宮廷文化 / 『オルジェイト史』 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目は、引き続きペルシア語文化圏で編纂された文献の調査を進め、研究基盤の整理を進めるとともに、これまでの研究成果の公表を積極的に行った。 1. 史料収集 トプカプ宮殿付属図書館(イスタンブル)、スレイマニエ図書館(イスタンブル)、テヘラン大学付属中央図書館(テヘラン)、マレク図書館(テヘラン)、ゴレスターン宮殿付属図書館(テヘラン)、写本研究所(バクー)、ジョージア国立写本センター(トビリシ)など、トルコ、イラン、アゼルバイジャン、ジョージアの4ヶ国の図書館で写本調査を行った。 2. 史料校訂・訳注 ティムール朝時代に編纂されたと考えられる著者不明の『集史続編』の校訂・訳注作業を進めた。また、イルハーン朝時代に編纂された基本史料『オルジェイト史』の校訂・訳注の作成を、翻訳チームに参加して進めている。 3. 研究成果の公表 博士論文の内容をもとに『普遍史の変貌:ペルシア語文化圏における形成と展開』(名古屋大学出版会)を刊行した他、ボン大学(ドイツ)との共同研究の成果が、Eva Orthmann & Petra G. Schmidl (eds.), Sciences in the City of Fortune: The Dustur al-Munajjimin and Its World(担当:共著, 範囲:"The Dustur al-Munajjimin as a Source of Early Ismaili History" (pp. 173-187))EB-Verlag Dr. Brandtという共著で刊行された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
史料収集を順調に進めることができただけではなく、研究成果も単著と英文共著という形で出版できたため。史料収集では、これまで十分な調査が行えていなかったトプカプ宮殿付属図書館(イスタンブル)、写本研究所(バクー)、ジョージア国立写本センター(トビリシ)で調査を行い、所蔵される写本の全体像が明らかになった。特に、バクーとトビリシに所蔵される写本の情報は学界にさほど紹介されておらず、現物を確認することで、幾つかの定説が誤りであることが明らかになった。これらの調査の成果については、後日学界に紹介する。
|
Strategy for Future Research Activity |
3年目以降も引き続き史料収集と同時にその分析を進めていく。今年度の史料収集はイギリス、フランス、イランで行う予定である。また、国外の研究者からのフィードバックを得るために、国内だけではなく国際学会での報告を積極的に行う予定である(なお、研究成果の一つは、2018年度中に国際誌 Studia Iranica 47号に掲載される予定である)。
|