2018 Fiscal Year Research-status Report
13-15世紀ペルシア語文化圏における文芸活動の隆盛と宮廷文化
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16K16922
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大塚 修 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (00733007)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ペルシア語文化圏 / イルハーン朝 / ティムール朝 / 『集史』 / 『オルジェイト史』 / 写本研究 / カーシャーニー / 宮廷文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 史料収集 エジンバラ大学付属図書館(エジンバラ)、英国図書館(ロンドン)、王立アジア協会(ロンドン)、ライデン大学付属図書館(ライデン)、テヘラン大学付属中央図書館(テヘラン)、議会図書館(テヘラン)、マレク図書館(テヘラン)、アブドゥルアズィーム廟付属図書館(テヘラン)、レザー廟付属図書館(マシュハド)など、3ヶ国の図書館でアラビア語・ペルシア語写本の調査を行った。 2. 史料校訂・訳注 前年度に引き続き、ティムール朝時代に編纂されたと考えられる著者不明の『集史続編』の校訂・訳注作業を進めた。また、イルハーン朝時代に編纂された基本史料『オルジェイト史』の校訂・訳注の作成を、翻訳チームに参加して進めている。 3. 研究成果の公表 イルハーン朝時代の宮廷文化を象徴する重要史料『集史』成立に関する従来の定説を覆す学術論文 “Qashani, the First World Historian: Research on His Uninvestigated Persian General History, Zubdat al-Tawarikh” を査読誌 Studia Iranica に掲載した他、国際会議で報告するなど、外国語での成果発表を積極的に行った。日本語では、南塚信吾編『情報がつなぐ世界史 (MINERVA世界史叢書6)』(担当:第1章「写本が伝える世界認識」(9-28頁))という共著が刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り史料収集を進めることができ、研究成果を海外の査読誌上に発表できたため。特筆すべきは、これまで調査を行えていなかったライデン大学付属図書館(ライデン)で調査を行い、所蔵されるアラビア語・ペルシア語写本の中に、13-15世紀に書写されたものが相当存在することが分かり、その一部のデジタル画像の入手に成功した点である。さらに、レザー廟付属図書館(マシュハド)においても、『バナーカティー史』現存最古の写本など、これまで学界に知られてこなかった写本を発見した。これらの調査の成果については、後日学界に紹介する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き史料収集と同時にその分析を進める。これまでイルハーン朝時代の宮廷文化を中心に研究を進めてきたため、最終年は特にティムール朝時代の宮廷文化に関する研究を進め、両者を比較することで、本研究の締めくくりとしたい。史料収集はポルトガル、イランで行い、2020年3月にデリーで開催予定のASPS隔年大会で報告を行う予定である。
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