2018 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Funeral Rites of the Liehou Ranks in the Han Dynasty: Comparison between Emperors and Families of the Aristocracy
Project/Area Number |
16K16925
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
邉見 統 学習院大学, 文学部, 講師 (70756890)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 漢代 / 前漢 / 列侯 / 諸侯王 / 皇帝 / 陵墓 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、皇帝・諸侯王との比較を通じて、漢代列侯の喪送儀礼について考察するものである。2018年度ならびに研究期間全体の成果は以下の通りである。 2018年度にはは河南省永城市の梁王墓群や淮北地域の都城遺跡などの調査を行った。後者については諸侯王墓・列侯墓に限らず、淮北地域の地理環境を把握するために調査を実施した。 一方、梁王墓群は丘陵を利用して造営されたものであり、丘陵を利用した点は2016年度や2017年度に調査した楚王墓などと同様の特徴を持ち、平坦な土地に墳丘を築く多くの皇帝陵とは異なる立地・構造を有する。一方で2017年度に調査を行った江西省南昌市の海昏侯墓などの列侯墓には皇帝陵と同様に平坦な土地に墳丘を築いたものも存在する。このような皇帝陵・列侯墓と諸侯王墓との立地・構造の差異からは、三者の国家における位置づけや地域的な性格の差異を見出すことができると考える。 こうした認識から「漢初の諸侯」(『日本秦漢史研究』第19号、2018年11月)を発表し、前漢時代の諸侯についての初歩的な考察を行った。これは2016年度ならびに2017年度に行った本研究の成果をふまえたものであるが、政治史的な考察である。本研究の成果として発表した一連の研究は、前漢の諸侯の政治的意義の解明に一定程度、寄与したものと考える。しかし本研究が重視する考古学的視角からの検討はいまだ十分とは言えず、今後の課題とせねばならない。また、これまでの考察は前漢の皇帝・諸侯王・列侯を中心としており、後漢のそれらに対する視点が乏しい。よって、今後、漢代の皇帝陵・諸侯王墓・列侯墓の調査・検討を継続して行い、それによって考古学的視角からの検討を深めたい。さらに後漢も視野に含めることで、漢代における諸侯の性格の変遷を検討し、この視点から漢代の国家構造を考察したい。
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Research Products
(1 results)