2018 Fiscal Year Research-status Report
ロシア帝国統治下のムスリム社会における離婚・婚姻解消の法社会史的研究
Project/Area Number |
16K16926
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
磯貝 真澄 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (90582502)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | イスラーム法 / ロシア法 / 家族法 / 婚姻 / 離婚 / タタール / バシキール |
Outline of Annual Research Achievements |
1. 史資料の所在調査と収集について、報告者は、国外、特にロシア連邦バシコルトスタン共和国ウファ市の公文書館等で行なう計画だった作業を、行なうことができなかった。これは次年度に必ず行なうものとする。国内で収集できる文献の方は、収集作業を進めた。 2. 史資料の読解と分析ついて、報告者は順次作業を進めた。特に研究課題(1)については、国際学会や国内研究会で口頭報告した後に得た助言をもとに、再検討を行なった。しかし、研究課題(2)のための作業は計画通りに進めることができず、次年度に作業速度を上げて続けるつもりである。 3. 分析内容の口頭報告による公開を、報告者は国際学会、国内研究会で行なった。The 9th East Asian Conference on Slavic Eurasian Studiesでは、「ロシア帝国沿ヴォルガ・ウラル地方のイスラーム家族・相続法(Islamskoe semeinoe i nasledstvennoe pravo v Povolzh'e i Priural'e Rossiiskoi imperii)」という題で、ムスリムの婚姻、離婚や婚姻解消、さらに遺産相続に関係する司法・行政制度を整理・分析した。そして、それらの制度に基づくイスラーム法実践の事例を文書史料から提示した。 国内研究会については、『第11回近代中央ユーラシア比較法制度史研究会』において「ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域のムスリムの婚姻簿―法社会史研究の試み」という口頭報告を行なった。ここではムスリムの教区簿のうち婚姻簿の詳細な内容を提示し、歴史学、法学、地域研究の専門家から有益な助言を得た。婚姻の諸問題に対する言説研究的なアプローチの必要も認め、別の研究会で口頭報告「ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域のムスリム女性による最初の言論活動―宗務協議会とウラマーの関連から」を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
報告者が、本研究課題の進捗状況をやや遅れていると判断する理由は、2つある。1つは、ロシア連邦バシコルトスタン共和国ウファ市の公文書館等で行なう計画だった史資料の所在調査と収集を、行なうことができなかったためである。これにより、史資料の読解と分析の作業も少し遅れた。 2つめは、史資料の読解と分析で、特に研究課題(2)のための作業を計画通りに進めることができていないためである。 報告者は、上述のいずれも、次年度の研究作業において解決できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
報告者は、次年度も当初計画の通りに研究作業を進める。ただし、本年度行なうことができなかった、ロシア連邦バシコルトスタン共和国ウファ市所在のバシコルトスタン国民文書館や図書館等における史資料の収集については、本年度分もあわせて行なうことができるかたちで、繰り越す予算を利用して実施する。また、研究課題(2)のための史資料の読解・分析については、作業速度を上げて取り組む。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、本年度、ロシア連邦バシコルトスタン共和国ウファ市の公文書館等における史資料の所在調査と収集を行なうことができず、その作業を次年度に実施するにあたり、旅費相当額を繰り越すためである。
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Research Products
(5 results)