2016 Fiscal Year Research-status Report
戦間期イギリス共産党における「コミュニスト・アイデンティティ」の形成
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16K16937
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
瀧口 順也 龍谷大学, 国際学部, 准教授 (10596802)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | イギリス史 / 共産党 / 20世紀史 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、初年度として研究課題に関する史料収集および関連するテーマに関しての国際学会での報告を行った。 史料収集に関しては、マンチェスターのPeople’s History Museum 内にあるイギリス共産党アーカイヴ、ロンドン政治経済学術院(LSE)、オックスフォード大学ボードリアン図書館内のジョン・ジョンソン・コレクションで行った。イギリス共産党アーカイヴでは、1920年代の党教育に関する史料を網羅的に収集した。これまでの出版物では断片的にしか語られることのなかった党教育に関する党内の議論やシラバスなどを発掘し、当該課題研究に関する重要な知見を得ることができた。LSE図書館では、党組織に関するパンフレットを閲覧し、オックスフォード大学では、1920年代前半のロンドン党組織に寄せられた多くの手紙や要望書などを閲覧した。どれも1920年代のイギリス共産党員のアイデンティティ考察に不可欠な史料であり、今後はこれらを整理・分析することで成果を示していくこととする。 客員研究員として滞在していた国際社会史研究所(アムステルダム)では、国際共産主義・コミンテルンに関する史料を収集・閲覧でき、当初の予定に従って研究が進捗している。 国際的な場での報告としては、ワルシャワ(ポーランド)で開催されたInterdisciplinary Conference of Slavonic and East European Studiesとイースト・アングリア大学歴史学研究科の近代史セミナーで行った。どちらも1930年代のソ連共産党の権力表象とコミュニズムの定義をめぐるテーマに関する報告を行い、多くのコメントから示唆を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りにイギリス共産党に関するアーカイヴ史料の多くを収集できた。また、客員研究員として滞在していた国際社会史研究所(アムステルダム)所蔵の史料も多くを収集・閲覧することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通りに関連するアーカイヴ史料の収集と、収集した史料の批判的考察を行う。とくに、イギリス共産党教育関連文書に関しては、多くを収集することが出来ているが、先行研究が多くないために慎重な検討が必要となる。
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Causes of Carryover |
滞在していた研究機関の施設設備の充実により、予定していたデジタル機器(タブレット、デジタルカメラ)を購入する必要がなくなった。そのため残余額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に予定していた海外での史料収集にくわえて、国内外でのアーカイヴでの史料収集の必要が生じたため、前年度残余分は二年目に計上していた渡航費に加算するかたちで利用する。
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