2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K16951
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Research Institution | Nara National Research Institute for Cultural Properties |
Principal Investigator |
浦 蓉子 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, アソシエイトフェロー (80746553)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 出土木製品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、人為的な加工が残る木材や樹皮などの植物質遺物から都城における木器工房や手工業の在り方を体系的に整理し理解することである。昨年度は、都城から多く出土する木材加工段階の木屑や樹皮などに焦点を当て、調査・資料収集を行った。以下、課題ごとに研究状況を示す。 分類・データ化:都城における手工業生産の在り方を考えるうえで重要となる、曲物(当時もっとも用いられていた木製容器)の使用・製作に直結する樺皮(樹皮資料)について、平城宮内出土資料のリスト化を行った。特に平城宮東方官衙地区SK19189出土資料について加工段階の認定を行った。また、平城京出土加工木屑について、順次実測図の作成を行っている。合わせて平城宮・京で大量に出土する木屑についての体系的な分類方法を確立するために、木屑の分類・報告例がある長野県屋代遺跡群出土品の実見・調査を行い、知見を得た。 地方官衙出土木製品等の調査:木製品が多数出土している地方官衙遺跡や関連遺跡群について比較対象として資料抽出を行い、所蔵機関に赴き調査を行った。昨年度は、静岡県伊場遺跡、宮城県市川橋遺跡などの出土品を調査し類例を蓄積した。 樹種同定の依頼:樹種は木製品の用途を推定するうえで欠かせない分析情報である。その一方で切片の採取を伴うため、その前準備として実測図の作成と写真撮影等の記録が欠かせない。現在、抽出した資料についての実測図作成および写真の蓄積を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料のデータ化・リスト化を進めており、また現地への資料調査等も順次進めている。昨年度予定していた樹種同定の依頼については資料群のデータ化を引き続き行っているため、今年度で改めて行う。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、奈良文化財研究所所蔵の資料について図化や写真撮影を含むデータ化及び、他の官衙関連遺跡出土木製品の調査を行う。また、今年度以降、都城内のどのような施設で木器生産が行われていたのかを推定するため、新たに平城宮・京出土木簡や『律令』などの文献資料から、木器製作にかかわる記述を抽出しまとめる。
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Causes of Carryover |
樹種同定予算として確保していたもの。樹種は木製品の用途を推定するうえで欠かせない分析情報である。現在、抽出した資料についての実測図作成および写真の蓄積を行っているため、今年度改めて樹種同定の依頼を行う。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
樹種同定費用として使用する。約50点の出土木製品資料について、樹種同定の依頼を行う予定である。
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