2016 Fiscal Year Research-status Report
多面的機能レジーム下の先進国山村の再編と領域化に関する研究
Project/Area Number |
16K16952
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
市川 康夫 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (60728244)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多面的機能論 / ネオリベラリズム / フランス農村 / 世界遺産 / 羊飼い / セヴェンヌ地方 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,多面的機能レジーム下のフランス山間地域農業の再編を,グローバルなMFA(農業の多面的機能:Multi-Functional Agriculture)政策の農業経営への影響,そして農業の環境管理や文化資源の活用に伴う地理的な領域化に注目して動態的に明らかにすることを目的とする。 フィールドワークは,フランスの山間地域であるジュラ山脈とピレネー山脈の2箇所において行い,既に研究を行っているフランス山間地域のマッシフ・サントラルの3地域を含めて比較分析し,フランス山間地域農業の再編をMFAレジームの視点からまとめることを目的としている。本年度は、科研のテーマのベースとなる多面的機能レジームに関わる理論的研究を行い、査読雑誌人文地理へ公開をした。特に、多面的機能論・レジーム論が生産主義・ポスト生産主義論の二項対立やそれを越えるための理論的概念の模索から生まれたこと、そして現代農村におけるグローバルな政治性を含めより広い視点から捉える理論であることを明らかにした。実態研究としては、夏にフランスへと渡航し、セヴェンヌ地域における山間地域農村の山村資源のツーリズム資源化と羊飼いの生活に関する予備調査を行った。当該地域では、パトロンが羊飼いを複数抱える形で経営が行われており、特に農業景観が世界遺産化したことで、その営農行為に対する世間の注目が増している。こうした制度や外部のまなざしにおいて、伝統的たる農業方法である羊飼養がどのように維持され、世界遺産化の中で共存しているかについて調査を継続させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった通り、まず2016年度に理論的な成果を出した上で2017年度に実地調査に入ることとしており,本年度は理論的研究を成果として提出するとともに予備調査を行い,資料収集等を進めることができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は,多面的機能レジーム下のフランス山間地域農業の再編を,グローバルなMFA(農業の多面的機能:Multi-Functional Agriculture)政策の農業経営への影響,そして農業の環境管理や文化資源の活用に伴う地理的な領域化に注目して動態的に明らかにすることを目的としている。今後は、2016年度に整理をした理論的研究である多面的機能論をベースとして、今までのマッシフ・サントラル研究の位置付けと、新たに山村資源のツーリズム化や遺産化、そして農村発展に関わる空間スケール及び政治・行政主体の整理を当面の作業として位置付ける。
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