2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mobilities of urban lower-class laborers and dynamics of the counter movements: search for alternative conception of Place
Project/Area Number |
16K16955
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原口 剛 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40464599)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 場所 / モビリティ / 労働 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、場所・モビリティ・労働という概念に着目しつつ、都市下層労働者の労働史および対抗運動の動態を明らかにすることを目的とする。最終年度にあたる本年度においては、以下の研究成果が得られた。 第一に、寄せ場運動史にかかわる一次資料を収集し、デジタル化する作業を行なった。具体的には、当時を知る関係者へのインタビュー調査を行なうことにより、諸資料が作成された当時の社会的・地域的文脈を明らかにした。第二に、写真家の中島敏氏の協力を得て、釜ヶ崎の歴史的景観を記録する写真群のデジタル化を進め、また、それらの写真についてのインタビュー調査を実施した。これら写真群の資料的価値・社会的意義はきわめて高いことから、本研究においてはウェブサイトを作成・公開し、ひろく閲覧できるインフラを創出した。第三に、神戸港を対象として、港湾労働運動の担い手へのインタビュー調査を実施した。本年度においては、とくに労災職業病闘争に焦点をあて、得られた知見を学会報告にて提示した。 研究期間全体を通じた研究成果としては、第一に、とくに寄せ場および港湾の労働運動史について幅広く一次資料を収集・アーカイブ化し、また、インタビュー調査によって貴重な証言を記録することができた。そして、これらの記録や得られた知見を、学会での報告やウェブサイトの作成・公開などの方法によって発信した。しかしながら、当初の計画をはるかに上回る量の資料を収集しえたため、今後もさらなる分析作業が求められる。第二に、本研究の調査研究から得られた理論的知見を国内外の学会やカンファレンスにおいて提示し、とくにモビリティおよび労働という見地から場所論を捉え返す作業を行なった。この作業により、ジェントリフィケーションやロジスティクスなど、昨今重要視されつつあるキーワードとの理論的な接点を見いだすことができた。
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Research Products
(5 results)