2018 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical Study on the Multiple Compositions of "Life" via a Japanese Artificial Cell Laboratory
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16K16960
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
日比野 愛子 弘前大学, 人文社会科学部, 准教授 (00511685)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 多重性 / 科学技術社会論 / 道具論 / 人工物 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、新しい生命の形が人工細胞をデザインする現場でどのように構成されるのかを明らかにすることである。ここでは、科学の実践を次の3つの側面からとらえることを提唱している。すなわち、細胞という操作対象物、対象にアプローチするための道具、知識を生み出す共同体である。国内の生命科学実験室へのフィールドワークをもとに、新しいモデルが対象物・道具・共同体のいかなる関係性のもとで成り立っていくのかを検討した。 平成30年度は最終年度となるため、成果の取りまとめと発表を中心に研究を進めた。前年度までに得られた、科学実験室や共同体(学会)の活動に関するエスノグラフィックデータ、専門家への半構造化インタビューデータを詳細に分析するとともに、実験室や関連企業に対する補足的な観察・インタビュー調査を実施し、新しいモデルが構築される際の多重性のあり方を検討した。また、ドイツ、イギリスの科学社会学研究者を訪問し、意見交換と研究発表を行った。成果として、下記の二点を明らかにした。第一は、人工細胞研究の多重性の特徴である。新しい細胞をモデル化する際、分節する単位そのものが研究者/研究室によって異なっていた。第二は、多様なモデルが統合されるメカニズムである。個別のモデル同士が連関されていくメカニズムを抽出した。 研究期間全体を通しての成果は下記の通りである。第一に、人工細胞のデザインに携わる国内実験室へのエスノグラフィックデータを作成し、問題の特徴を明らかにした。第二に、科学社会学の観点から多重性の理論的検討を行った。多重性については、医療人類学Molによる理論化が進んでいる。本研究の知見は、Molの枠組みに沿いつつ、日本の研究実践をとらえる視点を提起する意義を持つ。
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Research Products
(4 results)