2018 Fiscal Year Research-status Report
地方都市商店街の誕生と終焉に関する民俗学的研究:1920-2020
Project/Area Number |
16K16961
|
Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
塚原 伸治 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (30735569)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 商店街 / 民俗学 / エスノグラフィ / 中小企業 |
Outline of Annual Research Achievements |
(商店街の展開期に関する研究) おもに、1940年代から1970年頃までの時期について、福岡県柳川市の柳川商店街(京町ほか)がどのような状況にあったのかについて分析をおこなった。『柳川新報』(明治36(1903)年発刊)を中心に、適宜聞き書きを実施しながら商店街の「展開」期における具体的な姿を理解した。「銃後」の商店街から戦後の展開について明らかになったが、一方で、この時期には『柳川新報』の刊行頻度が極端に下がったため、聞き取り調査の重要性が再確認された。とはいえ、昭和戦前期の記憶が確かなインフォーマントは予想以上に減少しており、適切なインフォーマントの設定に時間をかけることとなった。
(商店街の現在/終焉に関する研究) 1週間程度の短期調査を数度実施することで、商店街の現在的状況の把握につとめた。あわせて、インフォーマントが関東に来訪するタイミング等を利用して調査を進めた。柳川の小売業者のなかには、東京を含む県外に販路を見出そうとしている者も多く、その場合、高付加価値の商品が模索されていることが判明した。これは当初商店街に求められていた機能とは異なっており、買い物空間としての役割を果たしていないことから、商店街の「終焉」のひとつの姿ともいえるが、個々の業者ごとでみれば必ずしもネガティブなものではないともいえる。ネガティブなものとして語られがちな商店街の衰退の別様の見方を提示する可能性がここには胚胎しているといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に比較して、現地調査の期間を長くとることができ、並行して史料調査を実施することもできたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は最終年度であるため、資料の分析および成果公開に注力する予定である。
|
Causes of Carryover |
平成30年度は概ね計画段階に予定した通りの調査を実施することができたが、平成29年度に未実施であった調査を全て行う時間をとることができなかった。今年度も調査を継続することとなったため、その分に充てる予定である。
|
Research Products
(3 results)