2018 Fiscal Year Research-status Report
投資仲裁における租税に関する国家の国際的義務と国内政策との相剋
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16K16993
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Research Institution | Nagoya Keizai University |
Principal Investigator |
ウミリデノブ アリシェル 名古屋経済大学, 法学部, 准教授 (10774599)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 投資仲裁 / 租税問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究実績の概要は次の通りである。(1)日本国際経済法学会年報において、投資仲裁における「条約釣り(Treaty Shopping in Investment Arbitration)」の問題について書かれたオックスフォード大学出版社による本(書籍)の文献紹介を執筆した。(2)韓国に渡航し、国際経済法分野で広く知られているAsif Qureshi高麗大学校法学部教授、KDI政策校のSherzod Shadikhodjaev教授と議論し、投資協定仲裁判例の分析における比較公法学とWTOの判例の重要性を確認した。韓国での議論を活かし、執筆中の書籍の中ではWTO の租税に関わる各条約制度、それに関するパネル及び上級委員会報告、また学会における学説を検討・整理が完成し、投資仲裁と並行する、物・サービスの貿易に関する超国家的な法体制上の国家の租税裁量権の状況が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理由:科研費採択直後に私立大学で勤務し始めたため、 40%のエフォートを研究に当てる予定だったが、当てられなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度における研究の推進方策としては、Routledge の国際経済法研究シリーズの一つについて、書籍にして公表することを目指す。これまで、海外渡航において十分な資料を収集しており、さらに、必要な有料データベースを購入するなど今後必要になるであろう資料を取得できる環境も整えている。そこで、これまでのすべての研究成果をも手がかりとし、個人・投資家に対する権利侵害と国家の課税主権との間の線引きを決定する基準を一層明確にすることを目指した書籍を英語で書き上げることに、力を入れる予定である。なお、2019年度の夏休みに、投資仲裁の研究において最前線に立つ数多くの研究者が集まるドイツのマックス・プランク外国公法・国際法研究所に短期滞在した上で、研究者と意見を交わし、書籍のポイントを最終的に確認する予定である。
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Causes of Carryover |
理由:予定していたオーストリアのInstitute for Austrian and International Tax Lawへの海外研修を実施しなかった。
(使用計画)令和元年に、英語で執筆した書籍による研究成果の公表を予定しており、また研究成果を国際学会において広くアピールする予定である。その際、英語校正及び渡航費のために剰余金を使用する。
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