2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K16996
|
Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
猪瀬 貴道 北里大学, 一般教育部, 准教授 (70552545)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 投資条約 / 投資紛争 / ISDS条項 / 投資仲裁 / 手続競合 / 並行手続 / 紛争処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、紛争処理手続という観点から外国投資に関する法制度について検討する研究である。その紛争処理手続は、法的根拠、フォーラム等が多層的に併存する状況にある。投資受入国の実質的に同一の措置等に対して、手続が並行して提起される場合があり、手続の競合状態になる。これらの問題点を事例および法(条約)規定の分析から明らかにするものである。 2018年度も引き続き、投資条約の投資家=国家間紛争処理(ISDS)条項を根拠とする仲裁手続(投資条約仲裁手続)に付託された事例の検討を進めた。それらの資料を分析し(1)当事者、(2)手続の根拠、(3)手続のフォーラム、(4)手続の時系列を基準として整理を行って分類を進めている。2010年以降に仲裁判断例(管轄権決定を含む)が公開された事例を中心にして、そのなかで言及されているリーディングケースに位置づけられる事例についても整理している。 それらとともに、並行して提起された手続について、(1)単一の国家の行為に対する同一の投資家による複数の手続(投資条約仲裁、投資契約仲裁、国内裁判など)、単一の国家の行為に対する複数の投資家による複数の手続(大元の出資者と子会社、複数の投資家による共同出資による投資など)のパターンに分けた検討を進めた。 また、2018年8月にオーストラリア・シドニーにおいて開催されたInternational Law Association Conference 2018に参加して、外国研究者による関連する研究報告を聴いたほか、関連分野の外国研究者との間で意見交換を行い、外国における議論の状況について情報収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
投資条約仲裁手続に付託され結果(仲裁判断(管轄権決定))が公開された事例を中心に、資料を収集して調査分析を行って整理を行っているが、対象事例が予想よりも多くなっているため、情報の取捨選択にやや時間がかかっている。また、関連して実施している他の研究課題における研究を先行して行うことが本研究課題についてもプラスの効果があると判断して、他の研究課題について時間を割いて取り組んだため、本研究課題については当初計画よりもやや遅れている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究期間を1年間延長して、引き続き仲裁判断等が公開されている事例について調査・整理を進めていく。現段階で明らかになっている競合の処理方法や論点に基づいて、現段階での中間成果として2019年度(6月)に開催される国際私法学会研究大会での研究発表を予定している。その後は、その研究発表に基づき、論文を執筆して研究成果を取りまとめ公表を予定している。研究分担者等として参画している他の研究課題との研究時間配分には十分留意して、最終年度となる本研究課題について優先的に取り組み、かつ、相乗効果が得られるように工夫して研究を進める。
|
Causes of Carryover |
本研究課題に関連する内容で2019年度国際私法学会(6月)での研究発表の機会を得たことから、さらなる研究図書の購入および参加旅費等が必要となった。また、研究進捗状況が遅れているものの研究の最終段階になっており、学会における研究発表をふまえた論文執筆を予定しているため、新たな研究図書や研究用機器の購入等が必要となることが見込まれる。したがって、2018年度に使用する予定であった直接経費について、計画を変更して2019年度に使用する。
|
Research Products
(3 results)