2018 Fiscal Year Research-status Report
汚職に対する刑事法的規制-外国公務員に対する贈賄と企業活動-
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16K17012
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
佐川 友佳子 関西大学, 法務研究科, 教授 (10555353)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 汚職 / 贈収賄 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度招聘した韓国の研究者による近年の汚職関連法改正及びその影響に関するテーマの講演を紀要に掲載した。これは韓国の厳格すぎる汚職対策が実体経済に与えた影響等にも触れており、汚職問題が単純な厳罰化によっては解決し難い問題であるという現実と、現在の法制度の限界を示すものであった。 また、やはり昨年度に招聘した、ドイツ研究者による汚職に関する講演翻訳も別媒体に掲載した。これは汚職を公権力の構造の中で基礎付けるという意味で、近年のドイツ刑法改正によって刑法典の中に入れられた経済取引上の利益収受等を汚職の中に組み込むことに否定的な評価を下し、汚職の本来の意義を問い直すものであり、本研究にとっても有意義な視点を与えるものであった。 別のドイツ人研究者には、EU圏における汚職対策という視点からの研究調査を依頼した。これにより、EU圏でも汚職に関する様々な事案が問題となっている現実が明らかとなった。この成果も紀要等で公表する予定である。特にEU圏内での経済格差を背景としたEUの補助金等をめぐる汚職問題は、共通の利益侵害の側面もあるが、同時に特定の国にとっては利益となりうる側面もあり、国際社会における汚職対策の困難性を示すものといえる。そうした現実的障壁がある以上、各国の手続的側面の協力はもちろんではあるが、それ以前に、各国において汚職に関して認識を共有していくこと、そしてそれを担保するための実効的な捜査や証拠収集制度の構築の必要性を実感した。 これら各国の研究に際して得られた知見を基に、今後は日本において効果的な対策、経済取引における不正利益に対するあり方等を改めて検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
アメリカの状況について詳しい研究者の招聘を予定していたが、本人の転勤に伴い、本年度中の実施が困難となり、次年度に繰り越さざるを得なくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
予定していた研究者の招聘を実施し、アメリカの状況について知見を得た上で、他の国との比較検討を通じ、日本法への示唆を得る。
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Causes of Carryover |
本年度招聘予定の外国人研究者のための旅費等が繰越となったため。 次年度に当初予定していた研究者の招聘を実施し、旅費等として使用する予定である。
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Research Products
(7 results)