2017 Fiscal Year Research-status Report
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16K17019
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
杉本 和士 法政大学, 法学部, 教授 (40434229)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 倒産法 / 非典型担保 / 所有権留保 / 相殺権 / フランス法 / 担保権 / 民事手続 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,破産手続,民事再生手続又は会社更生手続等の法的倒産手続において,各手続開始前にあらかじめ設定された担保権,特に動産及び債権双方の譲渡担保や所有権留保等の非典型担保又は担保的機能を有する相殺権をどのように処遇すべきかという問題につき,個別問題に対する対処療法的解決を超えて,倒産法学の観点からの一般的な視座を提示することを目的とする。その際,類似の問題状況の下,近年,民法学・倒産法学の双方から多くの研究成果が現れているフランス法との比較法研究を課題とし,特にフランス法学における「独占的(排他的)担保」の概念に関する研究に着目し,日本における問題状況との比較検討を行う。 そこで,平成29年度においては,本研究が表題にも掲げて注目する上記の「独占的担保」概念を中核となる視点として据えつつ,特に保証人,物上保証人の処遇を中心に日仏の比較を行うための基礎作業を進めてきた。具体的には,日本法における保証人又は物上保証人の倒産手続等における処遇に関して注目すべき最高裁判例が現れたため,その検討を行い,判例評釈を公表し,弁護士・裁判官・研究者で構成される研究会においてその成果を報告し,議論を行った。併せて,非典型担保としての所有権留保に関する判例等に関する判例評釈を数篇執筆したほか,民事再生手続における担保権処遇の基礎となる別除権構成とそれへの対応策としての別除権協定に関する論稿を執筆している。 なお,平成30年3月にフランス現地調査を実施する予定であったが,前年である同29年10月に勤務先の異動があり,同30年3月中の学内校務との日程調整が難航したため,同調査を平成29年度も実施することができなかった。最終年度ではあるが,平成30年度中の実施を検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本法及びフランス法に関する文献調査に基づく研究,及び,途中経過での成果に関する研究会報告や論文等としての公表は,順調に行っており,その点においては順調に進展していると評価できる。 ただし,フランス現地での調査については,平成29年度に実施することができず,次年度に繰り越すこととなったため,この点では予定が達成できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本研究の最終年度に当たり,過去2年間における日本法及びフランス法における非典型担保・相殺権の倒産手続等の民事手続における処遇に関する研究の成果について,順次,雑誌等に論文として掲載していく予定である。 併せて,平成29年度に実施することができなかったフランス現地調査をできるかぎり早い時期に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 平成29年度においてフランス現地調査の実施を予定していたが,同29年10月に勤務先の異動があり,同30年3月中の学内校務との日程調整が難航したため,同調査を平成29年度中に実施することができなかった。 (使用計画) 平成30年度においては,できるかぎり早い時期にフランス現地調査を実施する予定である。この実施に際して,平成29年度から繰り越すこととなった次年度使用額を用いる予定である。
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