2017 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Trustee's Duties of Care and Loyalty in Asset Management Schemes for the Elderly
Project/Area Number |
16K17039
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Research Institution | Kokushikan University |
Principal Investigator |
田岡 絵理子 国士舘大学, 法学部, 准教授 (20551039)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 信託 / 忠実義務 / 注意義務 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.財産管理型信託(民事信託〉の中には、自らの資産の積極的な運用というよりも、その維持と管理を求める信託が含まれる。かような信託でも、とりわけ、財産管理能力がないあるいはそれが衰えている高齢者等の弱者が求める財産管理では、経済的・社会的弱者の保護という視点を踏まえて信託制度を考察する必要がある。そこで、イギリス・カナダの民事信託の中でも、高齢者の財産管理を念頭に置いた信託スキーム、そこでの受託者の財産管理にかかる行動準則に焦点を当て研究を進めた。そして、受託者が負う義務の中でも、最も重要な義務とされる注意義務と忠実義務につき、比較法的考察から、日本法における義務の内容につき考察をし、その成果の一部について研究報告を行った(2017年9月27日 Conference on Comparative Law in Asia, The State of Comparative Law in Asia, シンガポール国立大学(シンガポール))
2.財産管理者の行動基準をいかに解し、設計するかに関しては、信託に限らず、他の財産管理制度における行動基準と平仄を合わせて考察する視点が必要である。とりわけ、財産管理能力の衰えから自己の財産の管理を他者に託したいと考える者との関係では、その者が置かれた個別具体的な状況に応じて、種々の財産管理方法が選択肢として与えられていてしかるべきであり、かつ、どの管理方法を選択したとしても、そこでの財産管理者には、同様の行動基準を期待することができている必要がある。そこで、財産管理型信託における受託者の行動基準を代理という財産管理制度の場面にも応用し、その研究成果をまとめたものを公表した(田岡絵理子「代理人の忠実義務の内容及び善管注意義務・委任事務処理義務との概念的関係について」私法79巻123-130頁(2017)
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