2018 Fiscal Year Research-status Report
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16K17048
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
稲吉 晃 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (70599638)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 日本政治史 / 都市政治 / 新聞 / 地方利益 / メディア史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、明治中期から大正期にかけての大阪市政を対象として、『大阪毎日新聞』『大阪朝日新聞』および『大阪新報』が、地域政治(都市政治)にかんして、如何なる政策論を展開していたのかを明らかにし、それにより、個別の政治勢力の利害や意見(プライベート・インタレスト)が如何にして公共性をもつに至るのか(ローカル・インタレストとして成立するのか)という点を、考察することにある。 当該年度においては、都市政治にかんする研究を複数公表した。第一に、明治30年代に大阪市政の一大問題となった大阪瓦斯報償問題を対象に、『大阪毎日』『大阪朝日』両紙のスタンスの違いから、当時の大阪市政の状況を検討した(「大阪瓦斯報償問題再考」)。本稿では、大阪市長の鶴原定吉が、自らの政策に公共性をもたせるためにメディアを活用せざるを得なかった点を明らかにし、その背景として鶴原のもっていた人的ネットワークの特徴を浮かび上がらせた。第二に、都市政治の一類型としての港湾都市のあり方について、とくに軍港都市に着目して考察した(「国家と都市の不健全な緊張関係」)。国家に依存しがちな軍港都市における地方利益表出のあり方は、当時最大の経済都市であった大阪市における利益表出のあり方とは、対照的である。軍港都市との比較を通じて、当時の大阪市を検討するうえでの重要な示唆を得られた。 また、当初の計画通り、大阪市との比較対象として、同じ時期に市政の再編過程にあった新潟市における利益表出過程の検討も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究代表者は、当該年度の後半において、当初予定されていなかった在外研究の機会を、所属機関より得た。そのため当該研究は、一時中断せざるを得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度においては、最終年度に予定していた、研究の総括を行う。
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Causes of Carryover |
研究代表者は、当該年度の後半において、当初予定していなかった在外研究の機会を、所属機関より与えられた。これにより、当該研究を一時中断せざるを得なかった。
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