2018 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the experience and development of "open" executive personnel affairs in postwar local government in Japan
Project/Area Number |
16K17053
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
稲垣 浩 國學院大學, 法学部, 准教授 (30514640)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 任用制度 / 人事行政 / 地方公務員制度 / 行政学 / 地方自治 / 日本政治史 / 政治学 / 植民地行政 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究最終年度となった平成30年度(以下、昨年度とする)は、主に以下の二つの課題について研究を進めた。 第一に、終戦期を中心とした自治体職員人事に関する資料収集と分析である。昨年度は、主に市町村を中心とした関連資料の収集と分析を行った。特に、福岡共同文書館では、昭和10年代から20年代の大牟田市や近隣旧町村の職員名簿を発掘した。同資料からは、市町村レベルにおいても大卒者が戦後早い時期から一定数存在していたことが明らかになった。 第二に、戦前期に日本の旧植民地に渡った職員の経験や動向についての分析である。昨年度は、10月よりイギリス・ケンブリッジ大学において研究を進めた。セミナーへの参加を通じた海外の関係分野の研究者との議論、大学図書館での資料収集などを行った。 また、三か年の研究全体の成果として、昨年度は論文を2本公刊し、1回の海外(ルーマニア)での研究報告を行った。特に、『國學院法学』第56巻1号に掲載された論文では、これまでほとんど研究が見られてこなかった、地方公務員制度の制定過程での任用制度をめぐる議論や、実質的な自由任用による「開放型」人事が行われていた戦後初期の自治体における職員任用の実態と、任用をめぐる諸問題について明らかにした。 今後は、昨年度発掘した市町村を中心とした職員の任用関係資料の分析などを通じて、特に制度面に比べて実態面での研究が十分でない戦後初期の地方公務員制度について歴史的な解明を進め、戦後日本の地方公務員制度の構造的な特徴と共に、多様な採用形態が検討・実施されている現代への示唆について明らかにしていきたい。なお、本年度も継続して論文等による研究成果の公表を進める予定である。
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