2019 Fiscal Year Annual Research Report
Participation in coalition governments of right-wing populist parties
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16K17054
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
古賀 光生 中央大学, 法学部, 准教授 (50645752)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 比較政治学 / 右翼ポピュリスト / 急進右翼 / ポピュリズム / 政党政治 / 西ヨーロッパ / オーストリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、右翼ポピュリスト政党の影響力を確認するために、これらの党が連立に参加したオーストリアとデンマークの事例を比較することを目的として出発した。しかし、研究開始後、オーストリアで、再び、右翼ポピュリスト政党が連立に参加し、後に離脱した。そのため、類似の事例として両国を研究するという計画に修正の必要性が生じた。そのため、計画を一部修正して、オーストリアにおける時系列的な比較として、シュッセル政権(2000-2006)と、第一次クルツ政権(2017-2019)の比較を念頭とする研究に切り替えて、両政権に関する分析を行った。 これらの政権の比較から、これまで議論されたように、右翼ポピュリスト政党である自由党は、連立政権内部では政策形成にイニシャティブを発揮できていないことが明らかになったものの、少なくとも、自由党の支持拡大が保守政党である国民党内部の権力争いに影響を及ぼし、自由党に近い立場の指導者が影響力を拡大したという結果が見られた。 その結果、最終的には国民党のイニシャティブによって実現したとはいえ、シュッセル政権では民営化と規制緩和が、また、第一次クルツ政権では、イスラム系の幼稚園に対する規制強化が政権のアジェンダとして提示されるに至っている。このことは、自由党の影響が、保守政党内部の動員戦略を通じて、現実の社会に対して発揮されたと言っても過言ではない。 これらの成果から、これまでの一部の有力な研究者が提示したような、右翼ポピュリスト政党の影響力を過小評価する見方には、一定の修正が必要であることが明らかとなった。今後は、より詳細なメカニズムを明らかにしながら、急進右翼、右翼ポピュリスト政党の影響力を判定する必要がある。
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Research Products
(2 results)